日本共産党

2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」

給与明細みて驚き

厚生年金と健康保険の保険料

ボーナス天引き10倍超


図

 サラリーマンの社会保険料負担が四月から大きく変わり、その影響が五月の給与から出てきます。政府・与党が強行した改悪によって、厚生年金や健康保険の保険料の計算方法に年収を対象にする「総報酬制」が導入されるためです。家計への影響は――。

「総報酬制」今月から影響

 「総報酬制」は、これまでおもに月給から徴収していた保険料を、ボーナスからもごっそりとるというものです。厚生年金は二〇〇〇年三月、健康保険は〇二年七月の改悪で、同制度の導入が強行されました。政府と自民、公明などの与党が強行したものです。

 厚生年金と健康保険の保険料はこれまで、月給とボーナスで料率が違い、ボーナスにかかる保険料は月給の十分の一程度に抑えられていました。これを今回の改悪で一気に月給と同じ料率に引き上げました(グラフ参照)。たとえば、厚生年金の保険料はこれまで月給から17・35%(労使折半)、ボーナスからは1%(労働者分は0・5%)でしたが、これが月給、ボーナスとも13・58%(労使折半)も引かれます。

 毎月の給与から引かれる保険料はいままでより減るものの、ボーナスからはこれまでの十倍を超える天引きとなります。年収に占めるボーナスの割合が高い人ほど大幅な負担増です。

 東京都に住む男性会社員Aさん(39)の場合。月収(額面)が約五十万円、ボーナスが年二回でそれぞれ約百二十万円です。一回のボーナスから引かれる医療と年金の保険料は、合わせて約一万円でした。ところが今年度からは約十三万円に激増します。

 「ボーナスは手取りの半分以上を住宅ローンにあてているし、ほかにも二人の子どもの教育費などボーナスをあてにしている出費は多い。こんなに保険料を引かれたら、どうしたらいいのか。家計を見直さなければ…」。Aさんは不安を募らせています。

 厚生年金加入のサラリーマンの平均(月収三十六・七万円、ボーナス三・六カ月分)でみると、ボーナスからとられる保険料は、年間約一万一千円から十四万四千円に、十三倍もの負担増となります。

ボーナスが2.4カ月 超える人は負担増に

表

 厚生労働省は新しい保険料率について、厚生年金では「月収とボーナスの比率が平均的な人(ボーナスが年三・六カ月分)であれば、年間の負担が変わらないように設定した」(年金課)といいます。

 一方、健康保険では、中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の場合、平均的な人の負担が変わらないように設定した場合(7・5%)より保険料率は0・7ポイント値上げされ、8・2%に引き上げられます。

 年金と医療を合わせた年間の保険料負担はどうなるでしょうか。

 たとえば、月収三十万円でボーナスが四カ月分(年収四百八十万円)、政管健保に加入している人の場合、これまでの保険料は年間約四十七万五千円でした。新しい保険料率では約五十二万三千円となり、約四万八千円の負担増になります。(表参照)

 総報酬制の導入について、政府は「ボーナスからも徴収することで、年収に占めるボーナスの割合による不公平感を解消し、負担の公平化をはかる」と説明しています。

 しかし、試算によると、ボーナスが月収の二・四カ月分を超える人は、今回の総報酬制導入で負担増となります。さらに、年収総額に保険料をかけるしくみにしたため、みかけの保険料率が下がったことから、今後、保険料が引き上げやすくなるという指摘もあります。

 (秋野幸子記者)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp