2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」
中国通信によると、中国国営の新華社通信は九日ニューヨーク発で、「イラク問題新提案から見た今後の安保理の動向」と題する論評を配信し、米・英・スペインの「新提案をめぐって新たな闘争が繰り広げられることは十分予想できる」と述べています。新華社論評は、新提案には次の三つのポイントがあると指摘しています。
(1)制裁の即時解除を求めて「ブッシュ政権にとって頭の痛い兵器査察問題を避けており」、査察責任者の報告と長期的な査察監視システムの正常な運用を制裁中止の前提とした安保理決議一二八四を破棄したに等しい。
(2)「石油食料交換計画」の四カ月内の廃止は、仏ロ両国の利益に配慮し、大きな抵抗にあうのをある程度回避しつつ、イラク石油輸出収入の支配権を国連から米国に移管し、こうして米国の長期的利益が保証される。
(3)国連事務総長任命の「調整官」の職務について明確に規定しておらず、実際には「顧問」にすぎない。
在ニューヨークの観測筋の分析として、米国、フランス、ロシア、ドイツの姿勢と思惑、さらに「米国の国連に対する実用主義的態度」に言及した上で、次のように結んでいます。
「安保理の権限を付与されないまま一つの主権国に武力を行使したことは、安保理の権威と第二次大戦後長い間に形成された集団安全保障体制の脅威となっている。新提案は国連の国際問題における役割の発揮に新たな挑戦を突きつけた。新提案をめぐる安保理の外交闘争の結果は国連の今後の役割にとって決定的要素になるだろう」
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