2003年5月15日(木)「しんぶん赤旗」
与党と民主党の有事法制「修正」合意と法案の委員会採決の事態に対し、憲法研究者有志四十三人が十四日、「与党、民主党合意は有事法制の危険な本質を寸分も変えていない」として、改めて廃案を訴える緊急のアピールを発表しました。
小沢隆一(静岡大)、上脇博之(北九州市立大)、三輪隆(埼玉大)、森英樹(名古屋大)、渡辺治(一橋大)の各氏が呼びかけ人となったアピールでは、合意内容について、民主党が強調する「人権尊重」規定はもともと政府原案にも入っているもので、法的効果は変わらないと指摘。逆に、「『必要最小限』との口実で人権を政府の恣意(しい)によって制限することにお墨付きを与える規定にしかならない」と批判しています。
また、アメリカの戦争を「日本有事」として国民を強制動員するためのしくみである「武力攻撃予測事態での有事体制発動」について、民主党が削除を要求せず無視したことからも、法案の危険な本質は変わらないとのべています。
民主党が提案していた緊急事態基本法についても、人権制約が受容される場合のある自然災害と、予測がつき外交上などの措置が検討されるべき武力攻撃とを一緒くたに「緊急事態」としているところに「根本的な欠陥を持っている」と指摘。国民にとって最善の道は法案の廃案以外にないと訴えています。