2003年5月16日(金)「しんぶん赤旗」
【ソウル15日面川誠】韓国の与党・新千年民主党(民主党)と野党ハンナラ党の国会議員三十人が十五日午前、日本の全衆議院議員に対し、有事法制三法案に反対するよう訴える日本語の書簡をファクスで送付しました。書簡に署名したのは民主党の宋永吉、金成鎬、金希宣、任鍾皙、ハンナラ党の安泳根、南景弼など平和、人権活動で知られる議員たちです。この書簡については、十五日の日本共産党の緒方靖夫参院議員と韓国国会議員の懇談で、韓国側から書簡全文が手渡され、書簡を出すに至った韓国内の懸念と関心について説明がありました。
書簡は「日本の国内法に隣国の国会議員が意見を差し上げるのは適切ではないという点はよく承知しているが、有事法制はその影響が日本国内に限定されるものでない」と指摘。有事法制がアジア諸国家と国民に戦争の歴史を思い起こさせるとし、「アジアの軍事・安保環境を悪化させる十分な契機になる」と強い憂慮を表明しています。
また、「日本の憲法は韓国でも『平和憲法』と呼ばれている」と評価し、「有事法制は平和憲法の精神に真っ向からはずれる」と指摘。「一瞬の誤った判断で世界の人々を戦争の苦痛に追いやった不幸な歴史をもう一度考えてください」と訴え、「日本が国際社会のリーダー国家として認められる道は、軍事的強化にあるのではなく、高い水準の道徳国家の面貌(めんぼう)を見せるところ」にあると強調しています。