2003年5月17日(土)「しんぶん赤旗」
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国立大学法人法案が十六日の衆院文科委員会で、与党三党の賛成で可決されました。日本共産党、民主党、自由党、社民党は反対しました。「学問の自由」「大学の自治」にもとづいた日本の高等教育のあり方を根底からゆがめる同法案に、各国立大学の教授会から批判的な決議が続出しています。傍聴席には六十人を超える大学関係者がつめかけました。
採決に先立つ反対討論で日本共産党の石井郁子議員は、法案の審議が二日間の参考人質問を入れてわずか五日間と、不十分なまま委員長職権により採決を強行したことに抗議。「審議はつくされたどころか、審議されなければならない多くの課題がのこされた。あまりにも無謀」と述べました。
石井氏は法案について、大学の中期目標を文科相が決めるなどということは世界に例がない「異常なもの」と指摘。中期目標が終了する六年ごとに文科相が大学の「廃止・民営化」を含めて「所要の措置を講ずる」という仕組みは、「憲法に保障された『大学の自治』『学問の自由』を奪う教育・研究への国家介入、統制強化法だ」と批判しました。
また、法案が学長の独断専行体制を確立し、学外者の権限を極端に肥大化させている問題点を指摘。労働安全衛生法という労働者の生命と安全を守る国の基準を満たさず、違法状態のままで出発せざるを得ないことも示し、「欠陥法案は廃案にすべきだ」と主張しました。