日本共産党

2003年5月19日(月)「しんぶん赤旗」

有事法案めぐる野党共闘どう見る

あくまで廃案をめざして

日本共産党 児玉健次国対委員長代理に聞く


 有事関連三法案は、野党の民主、自由両党を含む九割の賛成で衆院を通過し、週明けからたたかいの舞台は参院に移ります。日本共産党の児玉健次国対委員長代理に、有事法案をめぐる昨年来の野党間の経過を中心に聞きました。


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有事法案をめぐる野党共闘について語る児玉国対委員長代理

民主党の責任は厳しく問われる

 ――野党共闘を進めてきた当事者として、衆院通過に至る経過をどのようにみていますか。

 児玉 有事法案は、自衛隊の海外での武力行使に公然と道を開き、米国の先制攻撃の戦争にも参戦する道を開く、そしてこの戦争に国民を罰則つきで強制動員するのが本質です。この憲法の平和原則をじゅうりんする悪法に指一本ふれることもなく、与党と一緒に衆院を通過させた民主党の歴史的な責任は厳しく問われなければならない、というのが率直な気持ちです。

 昨年の通常国会、その後の臨時国会と二国会にわたり、有事法案は「継続審議」になりました。野党四党はその都度、一致して廃案を要求しました。これは忘れてはならない事実です。成立を阻止してきた力は、広い国民のたたかいと、国会内での野党共闘が結びついたからです。

 日本共産党が国会論戦で明らかにした法案の危険な本質は、共闘関係を通じて野党の共通認識に近づいていきました。政府・与党は答弁不能に陥りました。そのなかで、福田康夫官房長官の「非核三原則の見直し」発言問題や、防衛庁による情報公開請求者のリスト作成問題が出てきて、政府・与党は法案の早期成立のために自ら決めた公聴会を断念する事態もありました。

4野党一致の確認守られず

 ――それがどう変わったのでしょうか。

 児玉 今年の通常国会では、民主党が対案についての作業と党内論議を始めました。与党サイドは「早期に出せ」と揺さぶりをかけました。

 こうしたもとで四月二十四日に野党四党国対委員長会談が開かれました。私は、(1)有事法案への対応・考え方は各党さまざまだが、憲法とのかかわりを含むきわめて重大で危険な法案の性格からして、野党として徹底審議を求めていくべきだ(2)中央、地方での公聴会など国民の意見を広く聞く場を求めるべきだ――との二点を提起しました。この提起に民主党も含めて四野党が完全に一致し、会談の合意を衆院有事法制特別委員会理事会の野党各党の担当者に伝え、その方向でたたかいを展開しようとなりました。

 しかし、五月の連休後事態が急変しました。有事特別委員会の自民党筆頭理事と民主党筆頭理事との間で、特別委員会の審議を離れて、「修正」協議が進められる状況になったのです。与党は民主党に法案の採決日程も提案していました。

 十三日には、断続的に野党国対委員長会談が開かれ、民主党が「修正」協議の経過を報告しました。私は、民主党の「修正」が有事法案の危険な本質を何ら変えるものでないこと、採決日程に同意できず、徹底した慎重審議をすべきだと提起し、自由、社民両党とともに公聴会の開催、慎重審議で一致しました。

 しかし民主党は「公聴会の開催を特別委員会の担当理事に伝えたが、結果として公聴会が実らなかったことは申しわけなかった」としつつ、与党幹事長と「修正」合意した後に開いた野党国対委員長会談では、「明日(十四日)、特別委員会で議了をしたい」といってきたのです。その場で私は、「与党と民主党の“合意内容”をまだ見ていない。党として内容を検討し、委員会で十分審議する必要がある。十四日の議了には同意できない」と発言しました。

 民主党の野田国対委員長は「各党の意を体した対応ができなかったことを率直におわびしたい。ただ、このケースは特殊なケースとして、今後このようなことを繰り返さないので、引き続き野党の結束をお願いしたい」といいました。

 このように、野党間の確認が守られたかどうかが問われています。日本共産党は、野党共闘に関していえば、要求の一致点にもとづいて誠実に力をあわせ、不一致点では互いに論争しあう原則的立場を貫いており、今後も共闘の原則を私たちの側から崩すつもりはありません。

徹底審議で追及世論と運動力に

 今週からたたかいの舞台は参院に移ります。

 十七日に私が参加した集会で、ある女性が「一九九三年十一月に衆院を通過した小選挙区制法案を九四年一月、参院で否決した教訓に学ぼう」と言いました。世論と運動を力にしながら、会期の六月十八日まであとわずかですから、衆院で浮き彫りになった問題点を徹底審議で追及し、廃案に追い込んでいきたいと思います。


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