2003年5月19日(月)「しんぶん赤旗」
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旧厚生省に圧力をかけて柔道整復師にたいする保険請求の適正化指導を骨抜きにさせた木村義雄厚生労働副大臣の疑惑はますます深まりを見せています。
木村氏は、九七年十月に「適正化」指導の説明に訪れた厚生省担当者に「ダメだ」と圧力をかけたことについて「身に覚えがない」と否定。「適正化」指導に反対した日本柔道整復師会から「陳情を受けたこともない」と答えていました。
十四日の衆院厚生労働委員会の集中審議でも木村氏は、何度聞かれても「身に覚えがない」の一点張り。しかし、木村氏は、日本柔道整復師会の顧問になり、適正化指導が問題になった九七年には同会会長らと懇談していた事実が指摘され、説明も陳情も受けていないという不自然さが際立ちました。
日本共産党の小沢和秋議員が「知りもしない、何もしなかった人にお金を持ってくるわけがない」と指摘したように木村氏が関与した疑いはいよいよ濃厚です。
木村氏の疑惑を厚労省ぐるみで隠ぺいしている疑いも浮上しました。
坂口力厚労相は「当時の担当者に聞いたが、記録もないし覚えもないとの説明だった」「(適正化は)大きな政治課題になっていなかった」と答えました。
しかし、柔道整復師の保険請求は当時でも三千億円を超えており、九三年には会計検査院長が大臣に直接、改善を要求するほどの大問題でした。九五年には医療保険審議会から適正化案が示され九七年にようやく通知案にこぎつけました。
小沢議員は、何年も関係者の意見を聞いてまとめてきたのに、何の記録も記憶も残っていないなどという言い訳は通用しないと強調しました。
柔道整復師団体からの献金が受託収賄罪にあたる疑いも強まりました。
指導見送り直後に香川県接骨師会の政治団体がおこなった五十万円について同会会長は「見送りで働いてもらったお礼」と証言しています。
集中審議で木村氏は「一般的な政治献金」「コンスタントにもらっている」と弁明しました。
しかし、小沢議員が「事件の直後から額も回数も増えている。日本柔道整復師連盟は選挙のときには三百万円を持ってきている。こういうのをコンスタントというのか」と指摘すると、木村氏は答弁に立つことができませんでした。
香川県内で一月に開いた千二百人参加の政治パーティーが、「パーティー開催自粛」を定めた「大臣、副大臣及び政務官規範」に反している問題も浮上しました。
十三日の参院厚労委では日本共産党・小池晃議員の質問で、木村氏の厚生委員長就任(九八年)後に献金が増え、医療関係団体から六年間で一億三千五百万円が提供され、公共事業を受注している電気工事会社から公選法違反の疑いがある献金を受けていた事実が明らかになっています。
さらに、十五日の参院法務委員会では、昨年から継続審議の心神喪失者処遇法案をめぐって、同法案成立を推進する立場にある日本精神科病院協会の政治団体から昨年、計百十万円の献金を受けとっていたことが取り上げられました。
集中審議では、野党側の要求にもかかわらず、厚生省の当時の担当者が出席しませんでした。厚労副大臣の資格にかかわる重大問題であり参考人招致をはじめ真相の徹底解明が求められます。
(深山直人記者)