2003年5月19日(月)「しんぶん赤旗」
【モスクワ17日北條伸矢】ロシアのフェドートフ外務次官は十七日、インタファクス通信との会見で、米英両国などが国連安保理に提出したイラク問題での修正決議案に関して、国連の役割が明確でないなどの点をあげ、「われわれの懸念を一掃するものではない」と語りました。
同次官は「米国は一刻も早い採択を主張しているが、問題は速度ではなく、すべての国が受け入れ可能な合意に至れるかどうかだ」と指摘。安保理内の団結を回復し、国際法と国連の役割重視に立脚したイラクの戦後復興をめざすべきだと主張しました。
個々の問題としては、(1)最重要点として、米英による占領期限をはっきりと規定し、新しい合法政権樹立の展望を明確にする(2)国連の役割、とりわけ国連事務総長特別代表の権限を明示し、新政権樹立や復興の過程で同代表が独立した積極的役割を果たせるようにする(3)制裁解除の方向には賛成するが、国際法や国連安保理諸決議を基礎に行動すべきで、イラクにおける大量破壊兵器廃棄に関する一連の決議を完全に履行することが前提となる点などをあげました。
また、石油・食料交換計画から制裁解除に至る過程では、なし崩し的に事を運ぶのではなく、ロシア企業の契約を含め現存の国際契約を最大限活用すべきだと言明しました。米英などによるイラクの石油産業独占の動きに対する警戒感を示唆しました。