2003年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の志位和夫委員長は二十日放送のCS番組・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、朝日新聞の早野透編集委員のインタビューに答えて、後半国会の焦点になる参院での有事法制の論戦、りそな銀行グループへの公的資金の投入など深刻な経済問題について見解をのべました。
有事法制の論点について志位氏は、米軍が海外での戦争に乗り出したとき、自衛隊がこれに武力をもって参加するという、周辺事態法では建前上できないとされてきた制約を突破しようとしているところに、一番の問題があると指摘しました。
そのうえで、北朝鮮問題をてこに、有事法案成立の流れを一気につくろうとする政府・与党側の党略的な動きにふれ、北朝鮮問題は国際社会が平和的、外交的な手段で解決する努力が何よりも大切であり、「これを有事法制と結びつけ、強行の口実とするのは一番悪いやり方で、逆に北朝鮮との関係でも軍事の悪循環をつくってしまう」と批判。有事法案の“一番の本命”は、海外で戦争をやるしかけにあるとして、その点を国民に広く明らかにする論戦に引き続き力を入れていきたい、と語りました。
また志位氏は、北朝鮮問題について、核開発の道は認められず、これを放棄させなければならない、と指摘。北朝鮮側が「物理的抑止力が必要だ」「軍事的優先思想が大事だ」という考え方で対応している点をあげ、北朝鮮が国際社会に仲間入りができず、国際的な無法行為をきちんと清算できていないところに問題があるとして、「その誤りをきちんと理をもってただす外交努力が必要だ」と強調しました。
経済問題で志位氏は、一−三月期のGDP(国内総生産)が実質ゼロ成長という深刻な事態にふれ、勤労者世帯の所得が年間7・5%も下がり、給料の約一カ月分にあたる所得がなくなっていると告発。家計を痛めつける政治を切り替え、消費や所得を活発にする必要があるとのべました。
りそな銀行グループへの公的資金注入について志位氏は、「公的資金二兆円を入れるというのはどこから見ても失政なのに、竹中金融相や小泉首相が『改革が進んでいる証拠だ』といっているのは倒錯している」と批判しました。
その原因について、「竹中プログラム」で人為的に引き起こしたものである、と解明。二年という期限を決め、すべての不良債権の処分を無理やりすすめることを強要したこと、アメリカ流の会計基準を導入して、自己資本を人為的に目減りさせたことをあげ、「『金融再生』の名による金融破壊政策をやめることが急務だ」とのべました。
志位氏は、小泉内閣の経済政策について、(1)国民への四兆円負担増押しつけによる所得と消費の落ちこみに加え、(2)「不良債権処理の加速」で極端な金融引き締めを人為的につくって不況を悪化(3)大手企業のリストラが所得を減らし、失業を増加させ、経済活動を委縮させ企業の将来も危うくしていると、指摘。これでは「V字回復」どころか、「W型になって停滞していく」として、この三つの問題を大本から転換することが求められる、と強調しました。