2003年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
衆院厚生労働委員会での参考人質疑(十六日)で、東京ユニオン書記長・関根秀一郎さんがおこなった労働者派遣法・職業安定法両改悪案についての陳述(要旨)は、次のとおりです。
本来、労働者派遣法は、派遣労働者の権利を確立すること、いかに常用労働者の代替にならないようにするかという観点から改正されるべきです。ところが、今回の改正案は、派遣労働者の権利については放置したまま、常用代替を促進するものです。
派遣労働は、コストが安く、クビ切りしやすい労働力、使用者にとって使い勝手の良い労働力として拡大されています。
派遣労働者のKさんは、大手派遣会社A社からクレジット会社へ派遣されていました。一九九五年十一月から約六年三カ月間就労。最初は三カ月更新でしたが、九九年四月から一カ月更新に切り替えられました。
Kさんは二〇〇二年二月、抑うつ状態と診断されました。半月で百二十時間、十二日間休日なしの連続勤務を課されながら、次の更新で切られてしまうかもしれないとの不安から過酷な労働を強いられ、過労状態で倒れました。
Oさんは、大手派遣会社B社から、電機メーカーに派遣されていました。残業が多く、深夜まで働いていました。昨年の一月に妊娠し、十日ほどして、派遣先に伝えました。それから一週間後、解雇を通知されました。
その後、派遣元はOさんに、「仕事の継続については、お客さまたる派遣先が辞めてほしいといえば、受けざるを得ません。お金の出所は派遣先ですし、ビジネスとはそういうもの」、「妊娠という言葉は、即『やめてください』になってしまうケースがほとんど」という内容のメールを送っています。つまりこれは、派遣会社として特殊な対応ではありません。ほとんどの派遣会社、派遣労働の現場において、妊娠を告げた途端に解雇になるというのは、通例のように行われています。
総合規制改革会議などでは、フレキシブルな働き方、仕事と出産・育児が両立できる働き方として派遣労働を拡大するという趣旨の報告がされていますが、現実には育児休業などはとれない、出産・育児と両立できない働き方になっています。
ぜひ、派遣労働者の権利を向上するという趣旨の派遣法の改正をおこなっていただきたい。