2003年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
日本の有事三法案が韓国内で強い懸念と批判を呼んでいます。十五日の衆院通過を受け韓国の日刊各紙は社説を掲げ、日本政府が侵略戦争と植民地支配を真剣に反省しないまま、北朝鮮の核・ミサイル問題を悪用していると批判しました。
中央日報十七日付社説は、「衆議院議員の90%を超える圧倒的な支持は衝撃的だ」として、「過去の軍国主義の亡霊がよみがえるかもしれないという憂慮と不信」を指摘、「平和憲法の改定へ進む手段になるほかない」と警戒しています。
同紙は、「自国の安全を守るために防御的措置をとることは理解できる」と述べたうえで、日本の軍事力が「周辺国を脅かす水準になれば、北東アジアの地政学的な特性によって軍備競争に陥る」と危機感を表明。日本に対し「平和を守り、愛する国だという確信を周辺国に与える」ことを求め、「戦争犯罪に対する真の謝罪が先行しなければならない」と主張しました。
大韓毎日十七日付社説は、「日本は軍事力増強のために北朝鮮の核とミサイルの脅威を悪用している」と批判、「過去の侵略戦争と残忍な植民地支配に対する真の反省と謝罪を優先させる」よう求め、「残酷な過去の反省がない軍事力増強は、再び侵略戦争をやりうるということを意味する」と強く警戒しています。
ハンギョレ十七日付社説は、有事法制が「戦争準備法であり国家総動員令と言わざるをえない」と批判、「国民の基本的人権の保障をおろそかにし、軍国主義の亡霊を生き返らせる」と批判しました。
さらに、「日本の右派勢力は、第二次世界大戦を知らない人々が人口の大部分を占め、北朝鮮の核・ミサイルの脅威が取りざたされる今を再武装の好機と見ている」と指摘しています。