日本共産党

2003年5月21日(水)「しんぶん赤旗」

ショート英国際開発相

辞任演説の大要

米英の国連無視をしかる


 国連決議なしのイラク武力攻撃に反対、戦後もイラク復興への国連の果たす役割や政府の非民主的運営をめぐりブレア首相を批判、閣僚を辞任した英国のクレア・ショート国際開発相。このほどおこなった辞任演説の中で、国連の重要性を改めて強調、英国は米政権の誤りを覆い隠す役割をやめるべきだと大要、次のようにのべました。

 (イラクを占領した)米英連合軍はジュネーブ条約(一九四九年)とハーグ法規(一九〇七年)の下では明確な責任と権限の限界がある。米英軍は人的な必要性を満たし秩序を維持し市民行政の運営を維持しなければならない。米英軍は、政治的、経済的そして本質的で主要な改変をおこなう権限は与えられていない。米英軍は、主権的な権限やイラクに暫定政権を打ちたてるいかなる権限、および主権政府を確立する選挙に導く憲法的な過程を進める権限もない。これをおこなえる合法的な唯一の機関は国連の安保理である。

 イラクの復興と国連の権威の再確立のため国際社会が再度団結するように焦点をあてることが世界中の責任ある政治家の義務である。しかし残念ながら英国政府はそうしていない。英国は国連には最小の権限しか与えない。その一方でイラク政府を樹立する権限を米英軍に与える安保理決議を脅して通そうとする米国を支えている。

 (イラクへの制裁解除を求めて米英が安保理に提出した最初の)決議案は、国際社会の分裂の継続、占領軍に対するイラク国民の反抗、米英軍を泥沼にはめる可能性の危険を招きかねない。英国は、イラクの暫定政権樹立のための国連主導のプロセスのために努力できたし、するべきであったと確信する。これは英国にとっては名誉であり賢明な役割となったであろうし、国際社会はこの立場で団結しえた。

 戦争へと突き進んでいる時、また現在も、英国は古い友人である米国を助けるのではなくむしろ米国の間違いを覆い隠し、大きな誤りを犯してきた。米国の軍事力だけでは米国を安全にすることはできない。もちろん、われわれがテロリストのネットワーク壊滅のため団結するのは当然だし、国連を通じて世界はそうしている。しかし、国際法と国連の権限を傷つけるのは、不安定、憎悪そして、われわれすべての将来を脅かすテロの増加を生み出すであろう。(ロンドンで西尾正哉)


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