2003年5月23日(金)「しんぶん赤旗」
「カロリーゼロ」などと銘打った人工甘味料「スクラロース」(英国のテイトアンドライル社が開発した食品添加物)が、加熱すると有害な塩素系ガスをだし、遺伝子を損傷させる毒性をもつことが、二十二日の参院・厚生労働委員会で明らかになりました。内部告発をうけた日本共産党の井上美代参院議員が、研究論文などにもとづいてとりあげ、坂口厚生労働相に安全審査のやりなおしを迫りました。
スクラロースは、一九九九年十一月に食品添加物に指定された人工甘味料。砂糖を原料にしているため、天然甘味料のイメージで販売されていますが、百c中に約二十六・七cの塩素を含む人工の有機塩素化合物。
砂糖よりも約六百倍の甘みがあり、「ノンカロリー」甘味料として、顆粒(かりゅう)状の製品や清涼飲料水・菓子などに広く使われています。
井上議員は、スクラロースを一三八度以上で加熱すると塩素系ガスがでることを明らかにしました。政府が食品添加物に指定した二年後の二〇〇一年には、国際学会でスクラロースが、使用禁止の食品添加物だったチクロと同じ量で、DNA損傷をおこすことが報告されている事実を示し、「家庭でも、てんぷら、オーブンの加熱でスクラロースから塩素系ガスがでるとしたら、消費者の健康にかかわること。加熱試験をおこない安全審査をやり直すべきではないか」と、ただしました。
厚労省の遠藤明食品保健部長は、「現状では問題があるとは考えていない」としながらも、粉末を単体で加熱すると、塩化水素ガスが発生することを認めました。スクラロースの安全性、遺伝毒性の問い合わせをことし春に受けていたことを明らかにし、「新しい情報の収集につとめ、必要に応じてこれまでの評価を見直す」と答弁しました。
坂口厚労相は「専門家によく相談して今後のことを決めていきたい」と表明しました。