2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」
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憲法で保障された表現・言論の自由を脅かす危険をもつ個人情報保護法が、二十三日の参院本会議で自民、公明など与党の賛成多数で可決、成立しました。
反対討論にたった日本共産党の八田ひろ子議員は、法案で報道機関、著述業などが「利用目的の制限」「適正な取得」などの義務規定から除外されたことについて、「報道目的か著述目的かの判断は主務大臣にゆだねられており、恣意(しい)的な判断によって、報道や著述の範囲を狭く限定して、公権力がマスメディアに介入する余地が残されている」と指摘。独立・中立の第三者機関の設置を求めました。
また、八田氏は、法案には「思想、信条など個人の名誉、信用、秘密に直接かかわるセンシティブ(慎重な扱いを要する)情報収集の原則禁止規定が欠落している」こと、自己情報コントロール権が明記されていないことを指摘。防衛庁が地方自治体に自衛官適齢者名簿を提供させていた事件や、警察からサラ金業者武富士への犯歴データ流出事件をあげ、法案審議のなかで、こうした事件を防止できないことが浮き彫りになったとのべました。
八田氏は、金融などのより手厚い個人情報保護策が必要な分野で、所管省庁が個人情報保護のガイドラインを基本法に合わせて引き下げようとしていると批判。住民基本台帳ネットワークの問題では、法案が成立しても個人情報漏えいの危険性はなくならないと指摘し、本格稼働の中止を求めました。