2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の吉岡吉典議員は二十三日、参院有事法制特別委員会で、有事法案について、「自衛権」発動=自衛隊が武力行使に乗り出すことをだれが判断するのかなどの手続きが規定されていないのは「非常に大きな欠陥だ」と指摘。石破茂防衛庁長官が二十二日の同委員会で、その判断は、自衛隊の「ルール・オブ・エンゲージメント(交戦規則)」にもとづいておこなうと答弁した問題を取り上げました。
「交戦規則」とは、自衛隊部隊がとる戦闘などの判断基準などを決めたもので、防衛庁は「部隊行動基準」と呼んできました。
「交戦規則」について吉岡氏は、これまでつくられてこなかったのは、憲法九条が交戦権を否定しているためであり、政府も「規定しようがない」と説明してきたと強調。そのため、航空自衛隊が米空軍の「交戦規則」を準用する内訓(秘密扱いの訓令)があったことが一九六〇年代に明らかになり、大問題になった経過も紹介。「憲法をないがしろにしていいのか」「(防衛庁は)『交戦規則』をつくろうとしているのか」と追及しました。
石破長官は「(政府は)『交戦規則』という言い方はしていない。これからは『部隊行動基準』という言葉でいわせていただく」と答弁。「武力行使の判断は首相が行う」とのべ、前日の答弁を事実上訂正しました。一方で、「部隊行動基準」の策定は今後も進める考えを示しました。
吉岡氏は「憲法違反の『交戦規則』が公然と語られるようになった。憲法との距離が大きくかけはなれてきた」と批判しました。