2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」
22日、国連安全保障理事会でイラク制裁解除決議が採択されたことについてフランス、ドイツ、ロシア、中国など各国は、国連の役割が盛り込まれたことなどを評価する一方、決議がイラク戦争を正当化するものでないと改めてクギを刺しています。
【ベルリン22日片岡正明】ドイツのフィッシャー外相は二十二日、国連安保理でイラク制裁解除決議が採択されたことを歓迎する声明を発表しました。
同外相は決議を「イラク国民の生活条件の改善と政治安定のためのよい基礎」と位置づけ、国連もこの目的をはたすため、「一つの中心的な意味あいを持つ」と指摘しました。
声明は国連の役割として、(1)国連特別代表がイラクの政権づくりに独立した役割を果たす(2)経済面では透明化と情報を保証する諮問監視委員会が設置される(3)国連安保理は米英など戦争参加国と国連事務総長から決議の実行状況について情報を得て、決議の履行を一年以内に再検討できる─ことなどをあげました。
【パリ22日浅田信幸】フランスのドビルパン外相は二十三日付仏紙ルモンドのインタビューで、国連安保理でのイラク制裁解除決議は「戦争を正当化しない」「フランスはみずからの原則に忠実だ」などと語りました。
同外相は、「平和の建設に道を開く」決議だと評価し、「国連が舞台に復帰し、あすには国際的行動の中心におさまると確信する」と言明。独立性が強調された国連特別代表の任命、石油資源管理の透明性、武装解除における国連査察官の役割の承認などを列挙し、「国連の効果的な活動に道を開くような明確さがある」とのべました。
米国主導で編成が進められている国際安定化部隊については、「現在のところ(米英)連合軍の拡大でしかない」とし、「国際部隊の問題は適切な時期に提起される。それは国連が委任した権限の枠内でのみ提起される」との見方を示しました。
ドビルパン氏は最後に、フランスは「みずからの価値と原則を放棄することなく」「建設的な」姿勢をとったと強調しました。