2003年5月27日(火)「しんぶん赤旗」
石破茂防衛庁長官は二十六日の参院有事法制特別委員会で、「指定公共機関」(政府が指定する民間企業・機関)を戦時動員するための今後の法整備について、「強制するかどうかもふくめて、今後検討する」とのべ、強制的に動員できるようにする可能性を明らかにしました。日本共産党の池田幹幸議員の追及に答えたもの。
有事法案の一つ、武力攻撃事態法案では、指定公共機関は「対処措置」を行う「責務を有する」とされています。法案では、別に定める法律によって、指定公共機関が対処措置の実施を拒否した場合、首相が実施を指示し、それでも実施されない場合は、首相が「みずから対処措置を実施する」ようにするとしています。
池田氏は、米国防総省の輸送資格の取得要請を拒否している民間航空三社を例に挙げ、対処措置を実施しない場合はどうするのかただしました。
増田好平・内閣官房審議官は首相の「みずから実施する」について、「指定公共機関に対処措置の実施を強制するものではない」とのべ、民間航空三社の従業員や資機材を使って実施することではないとのべました。
池田氏は、三社が拒否したら、現実問題としては首相が対処措置をみずから実施する手段はないと指摘。「(今後整備するという)別の法律で強制を想定しているのか」と追及しました。
石破長官は「強制するかしないか、(どの企業を)指定公共機関に含めるかも含め、今後の検討課題にしている」と答弁。池田氏は強制動員を可能にする法整備について「重大な答弁だ。撤回すべきだ」と強く批判しました。
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