2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の吉岡吉典、小泉親司両議員は二十七日の参院有事法制特別委員会で、有事法制の発動要件である「武力攻撃予測事態」と重なり合う「周辺事態」で自衛隊が行う米軍支援をめぐり、政府の見解をただしました。
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吉岡氏は、政府が“周辺事態に際し、海外で米軍を自衛隊が支援するのは、戦闘が行われない『後方地域』であって、戦闘の危険があれば撤退するから、その自衛隊への武力攻撃は法的にはありうるが、現実には想定されない”としている問題を取り上げ、「危険がないとの印象を持たせるのは無責任だ」と追及しました。
吉岡氏は、「周辺事態」は「わが国に対する武力攻撃に至るおそれのある事態」とされており、相手国は日本への攻撃を意図しており、「(海外で『後方地域』支援をする)自衛隊だけが相手国の攻撃の対象から除外されることはありえない」と指摘しました。
石破茂防衛庁長官は「自衛隊が周辺事態で法的にできるのは輸送、捜索・救難だ。このような活動を行う自衛隊への攻撃はきわめて考えにくい」と答弁しました。
吉岡氏は「自衛隊を攻撃するかどうか判断するのは相手国だ」と指摘し、「『後方地域』支援であっても相手国にとっては米軍と一体のものであり、国際法上、参戦行為とみられる。『後方地域』を攻撃してはならないとの国際法も存在しない」と反論しました。
吉岡氏は「ほとんど想定されない日本への武力攻撃があるとすれば、周辺事態で自衛隊が『後方地域』支援に参加し、相手国から攻撃を受けることだ」と強調、「危険になったら逃げるという理屈は通らない」と批判しました。
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小泉氏は、米軍の先制攻撃によって「周辺事態」が引き起こされた場合、日本がその米軍に対して協力するのかどうかをただしました。
小泉純一郎首相が「米国は先制攻撃を選択肢の一つとしてもっている」と認めながら、日本は「先制攻撃には加わらない」と答弁していることを指摘。「『周辺事態』が米軍の先制攻撃で起きた場合、先制攻撃が認められない以上、日本は協力できないはずだ」と追及しました。川口順子外相は、「米国が国際法に違反するようなことがあるとは考えられない。米国は同盟国であり、『周辺事態』を自ら引き起こすことは考えられない」と繰り返すだけで、先制攻撃への協力はしないと明言しませんでした。
小泉氏は、「政府が米国の先制攻撃戦略について、明確に『ノー』と言えないのは重大だ。『周辺事態』での協力を排除し、とくに先制攻撃には協力しないことが、日本の有事を起こさせない最大の保証だ」と強調しました。