2003年5月29日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の岩佐恵美議員は二十八日の参院有事法制特別委員会で、自衛隊法改悪案について、日本が攻撃を受けていない「武力攻撃予測事態」から、自衛隊の陣地構築を可能にしている問題をただしました。
自衛隊法改悪案は「予測事態」から自衛隊部隊の「展開予定地域」で「陣地その他の防御施設」を構築でき、そのために「土地を使用することができる」としています。
岩佐氏の質問に、石破茂防衛庁長官は、「陣地その他の防御施設」について、掩体(えんたい)=銃座、砲座=や鉄条網、指揮所、監視哨、戦車ごうなどを列挙。また、同長官は米軍がこうした陣地を使用することについて「現在のところは想定していない」とのべ、将来の可能性に含みを残しました。
岩佐氏は、そのための土地の使用は「公用令書」を交付するだけで可能になると指摘。土地収用法などの手続きなしに強制的に土地を使用するのは、憲法で保障された財産権を侵害するものだと強調しました。
石破長官は、これらの陣地構築のための必要な期間について「数週間という場合もある」との考えを明らかにしました。
岩佐氏は、「予測事態と政府が判断すれば、一片の公用令書だけで相当な期間、日本中のどの土地でも使用可能になり、自衛隊の施設は何でもつくれるようになるというのは大変な中身だ」と批判しました。
石破長官は「(土地収用法などの)手続きをとっているいとまがない」などと弁明しました。
岩佐氏は、「ミサイルが飛んでくるような近代戦争で、国内に陣地をつくってどうやって備えるのか」とのべ、「予測段階から『戦時収用法』というべき強権を発動して自衛隊や米軍の新たな陣地を構築すれば、戦争を呼び込む最悪の事態になる」と批判。憲法九条を持つ日本として、平和的解決に全力をつくすよう求めました。
このほか、岩佐氏は米軍・自衛隊に対する地方自治体の支援措置の具体的な内容を明らかにしない政府の無責任な態度を批判。米軍・自衛隊に対する自治体の支援措置の内容、項目を明らかにした資料を提出するよう、参院有事法制特別委員会として政府に要求することを提起しました。