2003年5月29日(木)「しんぶん赤旗」
【モスクワ28日北條伸矢】中国の胡錦濤国家主席とロシアのプーチン大統領は二十七日、首脳会談後に共同記者会見を行いました。
プーチン氏は「新しい世界秩序は、多極的で安定した予測可能なものでなければならない。それは、すべての国の利害を考慮し、国際法の理解可能で明確な規定を基礎にしなければならない」と主張。胡氏も「(新秩序は)民族や肌の色に関係なく、世界のすべての人びとに寄与すべきだ」と述べ、イラク問題に関連して強まる米国の一国支配の傾向を暗に批判しました。
中ロ関係に関しては、プーチン氏が両国の貿易額が公式統計で百二十億ドル(約一兆四千億円)、統計から漏れている貿易額が推計百億ドル(約一兆二千億円)に達していると説明。ただ、東シベリアからの石油パイプライン計画をめぐって、日本が後押しする極東のナホトカ経由と中国ルートが競合している問題では、「ルートの選定は専門家が決める問題だ。いずれにせよ、ロシアは中国市場に関心がある」(プーチン氏)と、最終的な結論に至らなかったことを示唆しました。
また中国外務省筋によると、胡主席は首脳会談で、重症急性呼吸器症候群(SARS)に関し、「中国はSARSを制圧する自信があり、能力もある」と述べたといいます。
中ロ首脳会談についてロシアの報道機関は、イラク問題での国連の役割の強化、多極世界の創出などに比重が置かれたことに注目しています。
一方で、「国際問題全体、とりわけイラク問題で米国が帝国主義的政策をとっていることに対し、両首脳が公然と非難しなかったことを重視したい」(独立新聞電子版二十八日付)といった指摘もあります。