日本共産党

2003年5月30日(金)「しんぶん赤旗」

「竹中プラン」で不良債権処理加速

大手行で10兆円規模に

中小企業倒産に拍車参院予算委で

大門議員が指摘


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質問する大門実紀史議 員=29日、参院予算委

 経済問題の集中審議となった二十九日の参院予算委員会で、日本共産党の大門実紀史議員は、小泉内閣による不良債権処理の加速によって、「今後一年間で中小企業が十兆円規模で清算に追い込まれる」とただしました。

 大門氏は、銀行に不良債権処理の加速を迫れば、銀行の自己資本が減るため、貸出金を減らさざるをえないと指摘。実際、大手行は二〇〇二年に十二兆円もの不良債権をオフバランス化(直接償却)しましたが、取引先の業績を悪化させて新たな不良債権を生み、残高は直接償却した半分の六兆円しか減りませんでした。

 大門氏は、不良債権処理のさらなる「加速」を求める「竹中プラン」にもとづき、大手行が来年度までに不良債権残高を半減(約五兆円減らす)しようとすれば、倍の約十兆円の不良債権を処理しなければならないと質問。これまで大企業の不良債権処理はほぼ完了しているため、「残っている中小企業が十兆円規模で清算に追い込まれることになる」と追及しました。竹中金融担当相は、大門氏の指摘を否定せず、「予定通り『金融再生プログラム』(竹中プラン)に沿った線で(最終処理を)終結させる」と述べました。

参院予算委提出資料 大門議員作成

 大門氏は、小泉内閣が発足した二〇〇一年以降、不良債権の処理損や株価の下落などで、大手行の純資本(民間資本)が低下してきた試算を提示。「銀行は公的資金漬けで銀行の体力を強くするどころか弱くしてきた」と追及しました。

 竹中金融担当相は「(潜在的な)不良債権を徹底的に洗い出した結果、資本不足が起こった」と銀行経営が弱体化した事実を認めました。

 大門氏は、「銀行がこんな状態では、公的資金を返すことができない。もし、銀行が返済しようと思えば、収益改善のために貸出金利を引き上げざるをえず、中小企業の倒産に拍車をかけるだけだ」と指摘。「実体経済を回復し、銀行が自己責任で体力を取り戻すようにしなければ、矛盾は深まるばかりだ」と述べ、「竹中プラン」の撤回を求めました。


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