2003年5月30日(金)「しんぶん赤旗」
衆院青少年問題に関する特別委員会で二十九日今秋予定の児童虐待防止法の見直しに向けた参考人質疑を行いました。
全国児童相談所長会会長の金内善健さんは、一九九七年度から二〇〇一年度の五年間で児童相談所での相談件数は四倍に増えたと紹介。見直しについて、児童相談所の立ち入り調査権を明確化し、タイミングを失せず立ち入り調査ができるようにすること、被虐待児の施設入所や一時保護においても、親権を一時的に制限できる規定の整備が必要と主張しました。
全国児童養護施設協議会会長の福島一雄さんは、法施行後、被虐待児の養護施設入所が増え、特に都市部の施設はどこも年度途中で定員いっぱいになるとし、施設や職員の不足を訴えました。アン基金プロジェクト事務局長で里親経験のある坂本和子さんは、被虐待児と向き合ってきた里親の活動について発言。日本子どもの虐待防止研究会理事で日本弁護士連合会子どもの権利委員の平湯真人さんは、国と自治体の責務の拡充を強調。「現行法では、被虐待児の早期発見、保護が中心となっている」とのべ、裁判所の関与が必要な場合についても言及しました。
日本共産党の石井郁子議員は、児童虐待の問題は予防、早期救済、子どもの自立支援と親へのケアなど総合的施策が必要とのべ、「親子が再び暮らせるようになるには、何が必要か」と質問しました。平湯さんは、「裁判所の関与は大事だが、万能ではない。親への医療的・心理的支援など、民間NGOなどの力も借りて取り組むべきだ」と答えました。