日本共産党

2003年5月30日(金)「しんぶん赤旗」

暴力団と癒着 松浪議員かばう自公

10年前は金丸氏に「毅然と対処」「究明を」

退廃ここまで

今は放置「進退、本人決める」


 暴力団癒着問題で批判を浴びている保守新党の松浪健四郎衆院議員を自民、公明両党がかばっています。その“寛容ぶりは”両党のこれまでの主張に照らしてもきわだっています。

政権党の一員

 「政治資金規正法違反のほかに、暴力団の関与について疑念をもたれ、このことも政治不信につながったことを深く反省しなければなりません」「わが党は毅然(きぜん)たる姿勢で暴力団に対処することを、あらためて強くお誓いしておきたい」

 これは一九九二年十月、自民党の綿貫民輔幹事長(当時、現衆院議長)が、東京佐川急便事件による金丸信副総裁の議員辞職を受けて発表した「国民のみなさまにお詫び」と題する談話です。

 同事件では、金丸氏への五億円のヤミ献金が発覚。八七年の竹下政権誕生の際、金丸氏の意を受けた東京佐川急便社長が指定暴力団稲川会会長に頼み、右翼の「ほめ殺し」を中止させた皇民党事件も明るみにでました。

 松浪氏の問題は、秘書給与の肩代わりという形で暴力団関係者から政治資金収支報告書に記載しないヤミ資金が流れ、指名手配された組員の依頼で松浪氏が警察に捜査状況を照会したというもの。“綿貫談話”でいう「政治資金規正法違反のほかに、暴力団の関与についての疑念」が文字どおりあてはまる事件です。

 自民党は東京佐川急便事件で国民から激しい批判をうけ、一九九二年十二月、「政治改革の基本方針」を策定しました。

 そこでは、「党の自浄能力を強化する」として「党所属国会議員による国民の疑惑を招いた事件については、党自らがその解明にあたる」と公約しました。松浪氏は保守新党所属とはいえ、政権党の一員です。他党のことだといってすまされません。

当時公明党も

 当時、公明党の石田幸四郎委員長は代表質問でいいました。

 「政治家が右翼から脅かされ、裏で暴力団の力をかりて抑えるなどということは、民主主義国家としてあるまじき姿で、我々は断じて見過ごすことはできない」(九二年十一月四日、衆院本会議)

 さらに市川雄一書記長──。「政権を担っている自由民主党なんでしょう。そこで起きた事件はみずから真相を究明して、こうですと言わなきゃ。しかも総理は、国民の政治不信はかつて経験したことがないほど深刻だと言っている。それが党内問題で済みますか」(九二年十一月二十四日、衆院予算委員会)と政権党としてのけじめを強調しました。

 野党が提出した松浪氏に対する議員辞職勧告決議案を自民、保守新両党とともに棚上げにしている公明党。ところが、九二年十二月には、訴追されていない竹下元首相の辞職勧告決議案を社会、民社両党とともに提出。「衆・参両院での竹下氏の証人喚問の結果、暴力団関与の疑惑は一層深まった」(公明新聞九二年十二月八日付)と、“疑惑の段階”でも議決を求めました。松浪氏の場合、“疑惑の段階”どころか、本人自身が暴力団との関係を生々しく語り、「申しわけなかった」と認めているのです。

 それから十年。自民党議員を中心に金権腐敗事件は後を断ちませんでしたが、自民党は「自らその解明にあたる」どころか、「出処進退は本人が決めるべきだ」(小泉純一郎首相)と本人任せの姿勢です。松浪氏の問題では「本人も反省しているので、次の選挙で審判を受けるのも一つの方法」(同)という始末です。

 公明党も「(松浪氏は)率直に事実関係を話している」(神崎武法公明党代表)と松浪氏に寛容な態度です。

 自公保政権の退廃はここまできています。(高柳幸雄記者)


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