日本共産党

2003年5月30日(金)「しんぶん赤旗」

米の対テロ戦争

“世界をより危険にした”

アムネスティ事務局長


 【ロンドン28日西尾正哉】国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は二十八日、二〇〇二年の世界の人権状況をまとめた年次報告書を発表、一昨年の米同時テロ以後、米国など多くの国の政府が自国の安全保障を優先し、人権を無視、侵害してきたと批判しました。

 アムネスティのアイリーン・カーン事務局長は発表の記者会見で、米国のすすめる“テロとの戦争”が世界をより危険にしていると米国の対テロ政策を批判。「“テロとのたたかい”は世界をより安全にするどころか、人権を奪い、国際法を掘り崩し、精密な調査から政府をさえぎることによって世界をより危険にした」と指摘しました。また同事務局長は「それは、異なる信条、起源をもつ人々の間の分裂を深め、さらなる紛争の種をまいた」とテロとのたたかいの名で進められるイラク戦争など米国の政策を厳しく批判しました。

 事務局長は、「恐怖の巧妙な操作と安全保障の課題に偏狭な焦点をあてることとたたかうことがきわめて大切だ。安全保障の定義を国家と同様に、人々の安全を含めるまで広げなければならない」と強調しました。

 二〇〇二年十二月までの一年間の人権状況を分析した年次報告書は、米国がいまだに、キューバのグアンタナモ基地にアルカイダとされる六百人以上のアフガニスタンからの「戦闘員」を勾留していることを批判し、また米国で同時テロ以降、イスラム教徒を中心に約千二百人の外国人が検挙され、七百人以上が「日常的な違反行為」で勾留されたことを指摘しています。カーン事務局長はこの点に関し、「米国は、国際法上の義務を選択的に実施しようとしている」と批判しました。


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