2003年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
【ロンドン30日西尾正哉】英国のアダム・イングラム軍隊担当閣外相がイラク戦争中に、“市民を標的にしたクラスター爆弾は違法”と認めていたにもかかわらず、英軍がイラク戦争中、市街地で同爆弾を使用していたことが明らかになり、人権擁護団体などが批判を強めています。
英紙インディペンデント三十日付によると、イングラム閣外相は、対人地雷に反対して活動するダイアナ記念財団に対し、三月二十五日付の書簡で「われわれがこれら(ジュネーブ条約や国際法)の原則を考えれば、ある特定の標的に対してのクラスター爆弾の使用が合法とはいえない場合がありうることは明らかだ」とのべ、市民を標的にした同爆弾は違法との認識を示していました。
しかし、英軍がイラク南部バスラの市街地でクラスター爆弾を使用したことが二十九日明らかになり、同閣外担当相自身も英BBCラジオ・インタビューで「わが軍に危険がある特別の状況下で使用された」と市街地での使用を認めました。
これに対し、NGO「地雷禁止行動」の事務局長は、「手紙は、ジュネーブ条約を知っていながらこれを侵したことを証明するものだ。イングラム氏は政府が法律を踏み外して行動したことを認めた」と批判しました。また「ヒューマンライツ・ウォッチ」のスタッフもバスラからラジオ・インタビューに応え、「バスラでは人々が住む地域で使用された。実際にわれわれはその爆弾を目にしている。米英軍はどこでその爆弾を使用したかを明らかにすべきだ。不発弾処理の団体だけでなく住民にも必要な情報だ」と語りました。
英国では、クラスター爆弾の使用そのものが国際条約に違反するとNGOなどが強く批判しています。イラク戦争前の二月二十八日には、ダイアナ記念財団と地雷禁止行動がイラクでのクラスター爆弾使用に警告し、その使用凍結のための署名運動を開始しています。