2003年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
二十五、二十六の両日に行われたイタリア地方選挙(第一回目投票)では、全体として中道左派連合「オリーブの木」とイタリア共産主義再建党が健闘しました。一方、ベルルスコーニ首相率いる右派与党「フォルツァ・イタリア」は大幅に得票を減らしました。主要なマスコミは、解雇規制の緩和や公共サービスの削減を進め、国民世論に逆らって米英のイラク戦争を支持した右派政権への反発が表れたと分析しています。
選挙が行われた自治体数は少ないものの、人口の約五分の一が投票する選挙であり、まもなく三年目に入る右派政権の「健康状態の重要な検査」(レプブリカ紙)でした。
「オリーブ」と再建党は多くの都市で連携しました。最も注目された十二県と九つの県庁所在地で陣地を維持、一昨年の総選挙での敗北から前進へ転ずる機会となりました。特に「オリーブ」の主要政党である左翼民主(党)は総選挙と比べて、支持基盤の弱い南部も含めて各地で維持、前進しました。
その象徴的な出来事が首都ローマでの県知事奪還です。「オリーブ」と再建党が推す候補は右派候補に約10ポイントの差をつけて当選。レプブリカ紙は、ローマの「オリーブ」が公正で平和な世界秩序を求める運動を広げてきたこと、首相の不正疑惑を追及している司法機関をベルルスコーニ氏自身が攻撃していることに反対する運動に積極的に参加してきたことを勝因に挙げました。
ローマでの勝利には、「オリーブ」と政策協力を続けてきた再建党も貢献しました。同党は身近な問題と共にイラク戦争反対を訴え、得票率を総選挙より0・8ポイント増やし、6・2%を獲得しました。地域によっては10%以上にも達しました。同党のベルティノッティ書記長は「平和運動に示された変革の要求」が反映したと語りました。
一方、主要な与党は得票を激減させました。「フォルツァ・イタリア」は十二県すべてで総選挙時と比べて得票を減らし、総選挙で圧勝したシチリア州内の県でも軒並み20ポイント程度の得票率減です。連立内の中道政党が伸びてそれを埋め合わせた形です。
ANSA通信東京支局のロベルト・マッジ記者は「結果は国民と首相との蜜月が終わったことを示しており、首相への警告だ。中道政党はこれまで首相の暴走をけん制してきたため、その評価が躍進につながった」と語りました。
「ベルルスコーニ首相の連立政権は、歯車に油をささなければならない状態になった」(経済紙ソレ・24・オレ)という指摘もあります。実際、連立の一角を占める北部同盟は、地方分権をめぐる対立を理由に、北部の各地で独自候補を立て、足並みを乱しました。ローマでの敗北を受けて、政権内部では責任を問う論争も起き、連立与党の政策の議論、検討を求める声も出ています。
(島田峰隆記者)