2003年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 空港設備を高度化することが決まったようですが、自治体負担が増えるとも聞きます。どういうことですか。(愛知・一読者)
〈答え〉 政府は、空港の夜間運航増加や、計器着陸システム(ILS)に対応する航空機がほぼ100%普及したことなどを背景に、これまで空港の「付帯的な施設」とされていた照明施設や無線施設用地(ILS施設用地)を「基本的な施設」に格上げし、整備を促進することを決めました。ILS施設の高度化で、視界不良でも計器着陸が可能となり、就航率が向上すると説明しています。そのための「空港整備法」改定法案が五月九日に成立しました。
空の利便性や安全性を向上させるのは当然ですが、こんどの施設整備は、国の責任で行ってきたものも自治体に負担させるやり方で進められます。
空港整備法は「主要な国内航空路線に必要な空港」を「第二種空港」とし、そのうち国が設置・管理する「第二種A」空港は、滑走路など基本施設に国が三分の二、地方自治体が三分の一を負担すると定めています。
問題は、第二種A空港の照明施設やILS施設は、設置者である国が全面的に負担して整備してきたのに、こんどの基本的施設への「格上げ」で、三分の一が地元自治体の負担となることです。これにより今年度、広島空港のILS施設を最も水準の高い「カテゴリーIII」に高度化する事業が着手されますが、七十五億円のうち二十五億円が地元負担となります。カテゴリーIIIまで高度化していない第二種A空港は、ほかに十七カ所あり、どの空港を高度化するかは設置・管理者の国が決めます。国が決定することなのに、なぜ自治体も負担するのか、政府はまともに説明していません。
他方、地方空港の高度化は地方単独事業とし、ほんらい国が50%〜55%補助すべきものを、40%しか補助しません。欠航の多い離島空港の就航率向上も地方まかせです。こうした問題点のため、日本共産党は反対しました。
(博)
〔2003・5・31(土)〕