2003年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ2日小泉大介】バグダッドからの報道によると、イラクを占領する米文民行政当局は一日、米国が主導するイラク暫定統治機構設立にむけた「国民会議」方式を断念し、新たに米国が任命する「政治評議会」方式を採用する構想を明らかにしました。
文民行政当局者が記者団にたいし語ったものです。
新たな構想は、「国民会議」メンバーより大幅に少ない二十五人から三十人のイラク人で構成される「政治評議会」を米当局が七月中旬までに任命し、同評議会が暫定統治機構の閣僚を選出するとし、さらにイラクの新憲法の制定にも関わるとしています。
米当局は当初、イラクの七つの政党・宗教組織を主体にした「国民会議」の確立を方針とし、これを母体にした暫定統治機構の五月中の発足をめざしていました。しかし、米軍の撤退期限や一向に改善されない国民生活・治安状況をめぐり米当局とイラク七組織との調整が難航し、米当局は暫定統治機構発足を七月まで延期せざるを得ないと先に表明していました。
今回の構想はまだ最終決定ではないものの、占領軍とイラク国民との矛盾の深さと、イラクの世論を無視した米国の強引な占領支配の実態を改めて浮き彫りにしています。