日本共産党

2003年6月5日(木)「しんぶん赤旗」

特許の出願審査の手数料が2倍に?


〈問い〉 特許の出願審査請求の手数料が二倍に上がるそうですが、なぜですか。(東京・一読者)

〈答え〉 値上げは五月十六日に成立した特許法改定で決まりました。特許案件が他の発明より先願(出願が先)か、新規性や進歩性があるかなどの審査に支払う審査請求料が対象で、来年四月から実施です。一件八万四千三百円が、十六万八千六百円となり、「請求項」ごとの加算料金も上がります。

 以前から出願や審査請求の増加に比べ特許審査官の増員は抑制され、「審査待ち」が長期化しています。これに先行例調査も不十分なまま大量に審査請求する一部大企業の行動も加わり未着手案件が激増しています。

 審査の入り口の値上げで請求そのものを減らし、矛盾を回避しようというのが政府の狙いです。他方、出口にあたる特許権設定登録の特許料を値下げし、政府は“平均的例では審査請求で十万円上がるが特許料は二十万円下がり、全体は十万円安くなる”などと弁明しています。

 しかし二〇〇一年実績でも、中小企業は審査請求の13%、特許査定の9%にすぎず、大企業が特許審査の八、九割を占めているのが現状です。審査の入り口での料金値上げは、資力も体制も不十分な個人や中小企業の意欲をそぎます。特許権がますます多くの国民から遠のき、知的財産権への門戸を狭めます。

 他方、二〇〇〇年、〇一年の審査請求の二割は、ITなど電子技術メーカーを中心とする上位十社のものです。政府審議会の資料でも、十社の審査請求に対する特許率53・6%は、他の平均58・5%より5ポイントも低く、先行技術調査などが不十分だと指摘されています。質の悪い審査請求で滞留を増幅させている上位大企業の多くは、毎年数千件の特許登録をし、特許料値下げで億円単位の利益を得ます。

 一部大企業優遇でなく、中小企業や個人の料金は半額にするなど支援を強化し、国民に開かれた知的財産権制度にすることが求められます。

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 〔2003・6・5(木)〕


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