2003年6月5日(木)「しんぶん赤旗」
【ロンドン3日西尾正哉】英下院の外務特別委員会は三日、イラクの大量破壊兵器問題で政府が正確で完全な情報を議会に提出したかどうかを詳しく調査することを決めました。ブレア首相は、イラクの大量破壊兵器開発・保有を口実に戦争を強行しましたが、イラクへの軍事行動終結後も大量破壊兵器が発見されず“首相がウソをついた”と批判が高まっています。
外務特別委員会のアンダーソン委員長は、ブレア首相側近のキャンベル氏を含め、関連するすべての証人を呼ぶ意向を固めているといいます。
世論の批判の高まりを受けてブレア首相は四日にも下院の情報・安全保障委員会でのイラクの大量破壊兵器に関する調査結果を発表するもようです。
ブレア首相への圧力は日増しに強くなっています。七十人以上の労働党議員が、イラクの兵器に関し政府が持っている情報をすべて公表するよう求めています。
野党第二党の自由民主党のケネディ党首は三日付のインディペンデント紙に投稿し、「議会がイラクの大量破壊兵器の本質と切迫性に関して欺かれたのは極めて深刻だ」と指摘し、独立した議会特別委員会での調査を求めました。
【ワシントン3日遠藤誠二】米上院情報委員会のロバーツ委員長(共和党)は三日、イラク侵攻の理由とされた同国の大量破壊兵器が発見されていない問題で、公聴会開催を近日中に決定する考えを示しました。
同委員長は、「どのような形での公聴会開催の可能性も排除しない」と言明。上院軍事委員会も同問題での公聴会を予定しており、両委員会合同での開催となる可能性があります。
イラクの大量破壊兵器をめぐっては、ブッシュ政権は国家機密文書の内容を誇張して宣伝し脅威をあおったとの疑いがもたれており、上院は超党派でこれを追及する構えです。
イラク軍事侵攻に反対した民主党のクシニチ下院議員は、「ブッシュ政権が率いるこの国はうそに基づいて戦争へ突入した」と批判しています。