2003年6月7日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン5日遠藤誠二】国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は五日、安保理会合でイラクのフセイン政権が倒されて以後初めての大量破壊兵器問題に関する定期報告を行いました。国連による査察を拒否し続ける米英両国を批判し、査察再開を改めて求めました。
ブリクス委員長は、今月末で任期切れとなるため、今回が最後の報告です。委員長は、イラク戦争開始前までの査察で大量破壊兵器開発計画の証拠は見つからなかったと明言。その上で「まだ所在が確認されていない物が多くあるが、それを理由にしてなにかあるという結論に飛躍することは正しくない」と言明しました。また「二、三カ国による占領下で誰がやっても、国連査察団と同様の国際的な信用は得られない」と主張しました。
ブリクス委員長は、「UNMOVICの専門知識と経験は価値ある財産だ。監視、検証のための独立した機関として安保理が用いることができる」と語り、UNMOVICこそがイラクで査察を行える唯一の国際機関だと強調しました。
また、米国が大量破壊兵器の証拠としている移動型生物兵器製造施設について、イラク側から提示された兵器のリストにないとして、疑問を呈しました。