2003年6月7日(土)「しんぶん赤旗」
「怒りでいっぱい」「法案通した政治家は責任自覚して」「暗い気持ちになってられない」──。6日、参院本会議で採決強行された有事法案。「戦争ではなく平和を」とさまざまな運動を広げてきたグループの若い人たちに聞きました。
チャンス!ポノポノ 海南友子さん 「チャンス」はジョン・レノンの曲、「ギブ・ピース・ア・チャンス」からとりました。「ポノポノ」はハワイの言葉で正しい方向に引き戻すというような意味です。世の中を正しい方向に引き戻したいという思いでみんなで名づけました。
国会を傍聴しましたが、審議をちゃんとしないまま強行されたことが許せない。今日、法案を通した政治家の人たちに自分たちは何をしたのか、今後何十年にわたる責任を自覚してほしい。この法律が発動したら、どうなってしまうのかを本当に理解しているのか?疑問と怒りでいっぱいです。
有事法に関心を持っていなかった市民の人たちも多いと思うんです。
そういう人たちが「どうしてあの時、反対しなかったんだろう」と後悔するような事態にならないように、この法律を使わせないようにしていかなければと思います。
法案を通すような政治家の人たちにまかせておいたら、平和的解決といいながら戦争をする。市民どうしの連帯の力で戦争をなくしたい。
アジアン・スパーク副代表 柳田展孝さん ぼくはイラク戦争反対でパフォーマンスをしてきましたが、有事法制の内容を詳しく知ったのは今年の春です。それまでは自衛の範囲で「あってもいいか」くらいに思っていたんです。
でも勉強してみると自衛の戦争でなく、日本が他国を攻撃できるようにするもの。完全に憲法違反だと思いました。
しかも背後にアメリカの影がある。そこに一番の危険を感じた。外交努力で戦争を回避するのが政治なのに…。
アジアン・スパークはそんな危険な中身をリアルに感じてよと、エンターテインメント性のあるパフォーマンスで訴えてきました。かなり手ごたえがありました。法律は通ったけど、ぼくらが集まったことの意味は大きいと思います。平和を願う人が知り合い、熱くなることができた。今後もこうしたムーブメントを続けることができる流れも出ています。有事法制の発動を許さない取り組みを続けたい。
はてみ 田村かおりさん 日本は憲法九条を持っていて戦争をしない国なのに、アメリカと一緒に戦争をする備えをする有事法制案が成立するなんてショックです。
イラク戦争反対から非暴力の平和ということを考えてきて、その延長線で有事法制にも反対してきました。プラカードを持ち歩く、友人にEメールを書く、コントを道端でやる、インターネットでオンラインアクションをする、などできることをしてきました。「有事法制ってそういうものなの?」という声、「そういうことなら反対」などのいい反応も得てきていたのに…。
しかし、ここで暗い気持ちになってしまっては終わりです。私がしたいのは、暴力や脅しなしで平和をつくることです。どうすればそれを達成できるのか、考え、努力したい。
有事法制の内容や世界の状況などを他の人に伝え、これが必要なのか、これがなくては私たちの生活が保障されないのかといったことを考えてもらいたいです。本当のことを知れば大多数の人はこの法制に反対すると思います。みんなが協力する気がなくなれば、こんな法律は骨抜きにできるんです。
P魂s(ピーソウルズ) 上野太一さん 戦争をやろうと思えば踏み出せる枠組みが、こんな短期間で決まってしまっていいのか。無力感なんて感じている暇はありません。盛り返すしかないと思います。
高校一年生から平和ゼミナールなどで戦争の被害者、加害者の両方から体験を聞きました。憎しみや悲しみをこえ、なぜつらい体験を話してくれたのか。同じ悲劇を繰り返さないことが自分たちの役目だと感じ、行動しています。
イラク開戦の前日から連続五日間、アメリカ大使館前で泊まり込みました。ブッシュの開戦演説を聞き、友達に「アメ大前に来て」と夢中で携帯電話でメールを送りました。ワールドピースナウでは、組織にも属さない「普通の人」が会場からあふれ、自然に輪ができました。個々に行動に参加してきた人たちの「橋渡し」をしたい。
戦争を始めるのも止めるのも人間です。有事法制が成立したことで終わりではなく、発動させないたたかいが待っていることを多くの人たちに伝えていきたい。