2003年6月8日(日)「しんぶん赤旗」
【ワシントンで遠藤誠二】イラクへの軍事侵攻を正当化する理由だった同国の大量破壊兵器保有をめぐり、昨年秋に米国防総省がまとめた機密報告書では、大量破壊兵器の存在を示す「信用できる情報は無い」と記述されていたことが判明しました。ブッシュ米政権が確かな証拠もなしに情報をねつ造し戦争を進めた可能性がいっそう強まっています。
米国のメディアは六日、この機密報告について、CNNテレビ、ブルームバーグ・ニュースが同報告書を入手して伝えるなど、一斉に報道しています。昨年九月に提出された同省国防情報部(DIA)の報告書は、「イラクが化学兵器を製造、保有しているか、信頼できる十分な証拠はない」「化学兵器や弾道ミサイル、ロケットなどについて、直接的な情報に欠ける」と断言、生物兵器についても、多分保有しているが「大きさや状態などは分からない」と述べています。
さらに、一部メディアは、匿名の政府関係者の発言として、政権指導部が確証は無いにもかかわらず戦争を推進しようとしたと報じています。中央情報局(CIA)も、この国防情報部の報告について調査していると伝えられています。
米上院軍事委員会は六日、非公開の公聴会を開き、イラクで大量破壊兵器捜索に従事した米軍部隊とその業務を引き継ぐ「イラク調査グループ」の代表を聴取しました。公聴会に出席したDIAのジャコビー部長は、同日の記者会見で、「われわれは、大量破壊兵器の開発計画をめぐる個々の施設について明確に判明できなかった」と弁明しました。
ラムズフェルド国防長官は昨年九月、下院軍事委員会の公聴会で「(フセイン)政権は生物・化学兵器を所持している」と証言しています。