2003年6月11日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 BSE発生の原因ともなった、輸入飼料の安全対策は進んでいますか。(東京・一読者)
〈答え〉 食料自給率が40%(カロリーベース)に落ちた日本ですが、飼料の自給率は25%で、とりわけ消費量の多い高カロリー・高タンパクの濃厚飼料(穀物や、油かすなどの添加成分からなるもの)は10%にすぎません。羊などの体組織を含む輸入肉骨粉を介し発生した国内牛のBSE(牛海綿状脳症)感染事件は、安全対策が急務であることを示しました。
批判を受けた政府は今年、飼料安全法(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律)の改正案を提出し、六月に可決されました。飼料の安全対策の遅れを一定手直ししています。
これまで、有害物質を含む飼料の規制は販売禁止だけでしたが、製造・輸入・使用にも禁止措置がとられます。輸入業者にたいしても、農林水産大臣が指定する、有害物質を含むおそれのある飼料の届出を義務づけます。農水省による飼料添加物の指定や基準・規格の設定でも、農水大臣に厚生労働大臣の意見を聴くよう義務付けています。
他方、有害畜産物が生産されたり家畜に被害を及ぼすおそれがあるとして適正な品質管理を求めている「特定飼料」について、一定の基準をみたす製造業者を登録する制度を導入しました。指定機関の検定を受けなければできなかった「特定飼料」の販売を、登録業者には検定なしで認めるもので、外国の製造業者にも同様の登録制度を設けます。現行制度で唯一流通前に安全性を確認できる検定制度が形がい化するおそれがあり、日本共産党は登録制度を導入させない修正案を提出しましたが、否決されました。
このほか、輸入飼料の使用農薬の大部分に日本の基準がなく速やかな基準設定が課題です。輸入飼料を検査する肥飼料検査所の人員体制は、検疫所の食品衛生監視員に比べても貧弱ですが、今年度の増員は八人にとどまっています。
(博)
〔2003・6・11(水)〕