2003年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 出会い系サイトを規制する法律ができたそうですが、どういうものですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 知らない人同士が知り合うことなどを媒介するインターネット上のサイトを「出会い系サイト」と呼んでいます。サイトを利用した児童が犯罪の被害にあう事件が増えていることを背景に、政府は今年「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」を提出し、六月に可決されました。出会い系サイトのうち、異性交際希望者を媒介するサイトを「インターネット異性紹介事業」と規定して、児童(十八歳未満)は利用できないと表示させるなどの規制を行うもので、今年秋から施行されます。
インターネットを利用した児童買春などの犯罪が深刻な問題になっている現在、何らかの規制が必要なことは否定できません。しかし同法には、被害者である児童も処罰の対象とするなど多くの問題があるため、日本共産党をはじめ野党四党は反対しました。
同法は、サイトを利用した児童買春の「誘引」行為に百万円以下の罰金を科しますが、おとなだけでなく、買春の被害者である児童も刑罰の対象に含めています。同法は「児童の保護」を目的にかかげていますが、被害者・保護対象者の児童を罰することは根本的な矛盾です。被害者にも責任の一端があるなどと加害者のおとなの責任を免罪する風潮を助長し、被害児童にも犯歴を負わせるなど立ち直りの障害ともなります。児童売買春をあくまでおとな自身の責任ととらえた一九九九年の児童買春禁止法などの精神からも大きく後退するものです。
他方、サイト事業者が買春誘引などの防止措置を講ずることは努力規定にとどまります。規制対象となる「インターネット異性紹介事業」の定義のあいまいさや捜査方法など警察の職権の不明確さから、対象拡大など過剰規制やプライバシー侵害も危ぐされています。
(水)
〔2003・6・12(木)〕