日本共産党

2003年6月16日(月)「しんぶん赤旗」

“国会より選挙区歩け”

解散総選挙・参院選へ全開

選挙色に染まる永田町


記者座談会

 永田町は選挙色に染まっています。通常国会の会期末、会期延長問題やイラク特措法案をめぐる与党内のゴタゴタにも解散・総選挙への動きが影を落としています。各党の動きを担当記者で話し合いました。

  「キミのいま最大の仕事は次の総選挙で二回目の当選を果たすことだ。本会議以外は国会に来ないで選挙区を歩くことだ」。自民党橋本派一年生議員の資金集めパーティーで同派会長代行があいさつしていた。

●公約づくりへ

  自民党は武部勤政調副会長の下で公約づくりに動き出した。通例八月末開く党全国研修会は七月下旬に前倒し。衆参選挙区・比例支部から二人ずつの参加を求め、選挙セミナーの色合いがにじむ。各派閥は所属議員の選挙区情勢の分析作業に入った。

  二日の自民党衆院秘書会総会で秘書会事務局長は「秋の総裁選、引き続き予想される総選挙、来年夏の参院選、一年間かけて選挙の季節。私たちにとって最も大切な時期だ」とあいさつした。

  自民党本部関係者は「衆院議員はみな浮き足立っている。すべての議員が秋の解散・総選挙を想定して地元事務所に臨戦態勢の指示を出している。派閥幹部の週末の日程表は系列議員の応援遊説の予定で埋まっている」と“本番並み”の情勢を解説する。

  民主党は十四日に全国幹事長・選挙対策責任者会議を開いた。党執行部は「十、十一月解散総選挙を想定した準備を」と指示した。十八日には総合選挙対策全議員懇談会を開く予定だ。

  七月一日の結党五周年パーティーを総決起の場と位置付け、総選挙態勢へなだれ込む構えだ。五月末に総選挙候補者研修会を終えている。総選挙政策は「マニュフェスト(政策綱領)」という形で六月中に草案をまとめる。

●資金パーティー

  与党・公明党は、有事法制など重要課題で小泉内閣に全面協力しているのに、自民党との選挙協力協議が進まないことにいらだっている。しびれを切らして衆院小選挙区十人、比例三十人を内定したようだ。

  公明党にとっては東京の小選挙区での議席獲得が至上命題。自民党現職がいる選挙区に割り込む格好の太田昭宏幹事長代行は出版記念会を都内で開いた。創価学会芸術部所属の女性歌手が繰り出している。選挙活動の中核になる「女性の集い」も開いた。

  自民党派閥や議員の資金集めパーティーで目につくのは、公明党幹部からあいさつをもらう光景だ。森派や橋本派のパーティーでは冬柴鉄三幹事長があいさつした。衆院一選挙区当たり平均二万数千票といわれる創価学会・公明党票が目当てだ。

  長崎県が地元選挙区の自民党堀内派衆院議員が十日開いた資金集めパーティーでは、公明党九州ブロック副議長の参院議員をステージに上げた。「この場で、あいさつしろということは、(堀内派議員の)選挙はしっかりやりますよということを(ここで)約束しなくてはいけないということだと思っている」といわせていた。

  参院選も一年後に迫った。国土交通省出身の自民党橋本派参院議員は国土交通省の地方局所管ブロックごとに選挙マシーンをつくり、首都圏は東京の関東建設弘済会本部に司令塔を置いている。

  五月二十九日に東京の経団連会館で、五年前に初の財界丸抱え候補として当選した加納時男参院議員が資金集めを兼ねた再選への決起の集いを開いた。

●無党派の動きは

  堺屋太一元経済企画庁長官、エコノミストの植草一秀氏らが五月末に出した緊急提言は「(日本社会の)低迷と劣化が続いているのは現在の日本の体制と発想が人類文明の目指す方向と離反しているから」「現行の体制と発想は『亡国への道』」と小泉路線をこき下ろしている。保守勢力を巻き込む政治的激動の可能性をはらむ情勢を物語っている。

  四月のいっせい地方選中のNHK世論調査によると大都市部で60%を超える無党派層の三分の二は「無党派だが選挙に関心あり」の層だ。保守支持層では経済苦や先行き不安から自民党離れが深く進んでいる。有権者への対話と働きかけで行き詰まる自民党政治を変革できる余地は十分ある。

  総選挙、参院選と続く選挙の季節は小泉政権の痛みの政治、憲法じゅうりん政治を丸ごと国民が総決算するチャンスだ。

  破たんした古い政治の枠組みを続けるのか、本物の改革への道を開くのか――日本共産党はこんどの選挙を二十一世紀の日本の進路が、大きく問われる選挙と位置付け、全力をあげる構えだ。選挙準備と、党員と「しんぶん赤旗」読者を増やす大運動に取り組んでいる。熱いたたかいの火ぶたは切られている。


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