2003年6月17日(火)「しんぶん赤旗」
生命保険の予定利率の引き下げを認める保険業法「改正」案が十三日、参院で審議入りしました。参院本会議での日本共産党の池田幹幸議員の質問と、竹中平蔵金融担当相の答弁を再構成して紹介します。
池田議員 生命保険業の立て直しをいうなら、小泉内閣の経済政策を担当してきた責任を明らかにし、経済政策の転換をはかるべきだ。
竹中金融担当相 日本経済の低迷は、複合的な構造要因によるものだ。
池田 生保会社の経営悪化を知りながら、適切な対応をとらず、生保の経営を悪化させた金融庁の責任をどう認識しているのか。
金融相 保険商品は、そのときどきの運用利回りの状況等に照らせば、適切な判断が行われてきた。各保険会社に対して健全性の確保に向けた真剣な経営努力を求めている。
池田 巨額の基金(銀行から生保各社に提供している資金)の取り崩しを免除して銀行を救済するのが狙いではないか。
金融相 銀行の救済が目的ではなく、保険業の継続を通じた保険契約者等の保護が目的だ。銀行等が支出した基金等の取り扱いについては、保険会社は保険契約者に対して、考え方を示さなければならないとしている。
池田 「予定利率の引き下げなしでは破たんの蓋然(がいぜん)性が高い、仮に異議申し立てが通れば破たんすることになる」といわれれば、保険契約者は、泣く泣く予定利率の引き下げに応じざるをえない。事実上異議申し立てができないではないか。
金融相 異議申し立てに対して、保険会社は保険契約者が適切に判断できるように、契約条件の変更が必要な理由を示さなければならない。行政当局も、契約条件の変更案の承認の際に、保険会社の送付書類において、十分な説明が行われるか審査する。
池田 本法案によって予定利率の引き下げを申し出た保険会社のすべての契約者が、数カ月にわたって事実上解約できなくなる。どうして個々の契約者は自らの意思に反して契約変更を押しつけられなければならないのか。いつでも解約でき、ただちに解約返戻金が払われるべきではないか。
金融相 解約業務の停止の対象は、予定利率の引き下げ対象契約に限るものではない。保険契約者の保護の観点から、適切な判断をすることになると思う。
池田 法案が成立すれば、解約に拍車がかかり、保険会社の経営は逆に悪化するのではないか。
金融相 法案は、予定利率の引き下げを可能とする新たな選択肢を追加するもの。保険契約者の保護が目的だ。
池田 この問題を議論してきた金融審議会が求めているような法案の社会的認知は得られたのか。その証拠を示していただきたい。
金融相 国会等の審議を通じ、さらに国民、保険契約者等の理解を得るべく努力する。
池田 金融審議会は、予定利率引き下げに九割の国民が反対していることを明らかにしている。無視するのか。
金融相 法案提出前に金融審議会を開催、議論し、行政として作業を進めることは、了とされたと承知している。
池田 解約の増加など契約者の変動を織り込んだシミュレーションを含め、資料、金融審議会の会議録を提出すべきだ。
金融相 シミュレーションは、前提となる保険会社の経営モデルを構築する必要があり、変動要因も複雑多岐にわたることから、技術的に困難だ。議事録については、各委員も非公開を前提に議論しており、公表しない。