2003年6月18日(水)「しんぶん赤旗」
「イラクの子どもたちの命がいま危険にさらされている」。十五日に来日したユニセフイラク代表のカレル・デロイ氏が十七日、東京・港区で開かれたイラク緊急報告会(主催、日本ユニセフ協会)にのぞみ、米英によるイラク攻撃後の子どもたちの深刻な実態を報告しました。
報告会には、海外協力のNGO関係者ら約百人が参加しました。
同氏は、報告のなかで、イラク戦争開始後から、保健、教育、栄養、水と衛生、子どもの保護などの面で、戦争が子どもたちに与えた悪影響を強調しました。
とくに「雨あられのような爆撃、混乱、略奪」で、子どもが深刻な心的外傷をうけており、「法の不在と秩序の崩壊」で、女性や少女が外出を控え、親が学校へ通わせられない事態になっていることや、米軍のクラスター爆弾や不発弾で犠牲者がでていると指摘しました。
さらに、子どもの下痢が昨年同時期より倍増し、開戦後、十二万人の新生児が誕生したのに予防接種をうけることができなくなっているなど、危機的状況をむかえていると訴えました。
安全な飲み水が手に入らずイラク南部のバスラで六十件以上のコレラが発生し、「子どもの健康が脅かされている」と指摘。子どもと女性の権利侵害の基本的要因となっている法と秩序の回復、緊急人道支援を強く訴えました。