2003年6月19日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十八日、国会内で記者会見し、十七日に出された政府税調の中期答申について、次のような見解を示しました。
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一、昨日、政府税調の中期答申がだされました。この内容は、二十一世紀の日本の税制のあるべき姿をめぐって、きわめて重大な内容をふくんでいます。今後の国政の大きな争点になっていく問題であり、私たちの見解を端的にのべておきたいと思います。
一、答申は、「少子・高齢化社会を支える」という名目で庶民大増税が満載された内容になっています。
とくに、「個人所得税の基幹税としての機能を回復すること」、「消費税の役割を高めていくこと」、この二つを基本においています。
個人所得税については、公的年金控除の縮小、遺族年金や失業給付などのような非課税給付への課税が打ち出されています。他に収入がなく、こうした年金や失業手当によって生活している世帯にまで、増税が押しつけられます。
くわえて、定率減税の廃止の方向も打ちだされており、すでに決定されている配偶者特別控除の廃止などとともに、庶民いじめの大増税です。
一方で、答申は消費税について、政府税調として初めて「二桁の税率に引き上げる必要」を明記しました。政府税調は、これまでさまざまな答申を出してきましたが、二ケタという数値を明記したのは今回が初めてです。日本経団連などから、税率16%などの要求が出されるなかで、それにこたえて、消費税大増税の道を宣言したことはきわめて重大です。
一、こうした庶民大増税の方向をうちだす一方で、法人課税については、「法人税率の引き下げについて、…今後検討すべき課題」として、大企業減税の方向を明記しました。石弘光会長の記者会見は、法人税についてこうのべています。
「(法人税は)将来、基幹税としての地位は次第に薄れていくという意味において、所得税、消費税とは違う。これは確認させていただいた」
これはひじょうに重大な意味をもっています。すなわち、何を基幹税とするか、税の根本とするかについては、戦後長らく所得税と法人税が基幹税だということでやってきたのです。それに最初の変更が加わったのが、二〇〇〇年の政府税調の中期答申であり、そのとき初めて、所得税、法人税に加えて、消費税も基幹税だという位置づけがされました。
今度は、所得税と消費税が基幹税であって、法人税は基幹税からだんだん外れていく方向だというのです。
結局、庶民には増税を負わせるが、財界・大企業は、「高齢化社会」の負担責任を放棄するという内容になっている。非常に重大な内容です。
一、高齢化社会を支える財源をどうするかについては、まずは公共事業や軍事費など歳出の浪費の構造にメスを入れる大改革が必要です。さらに、税負担でも社会保険料負担でも、大企業と高額所得者に応分の負担を求める――「能力に応じた負担」、「総合・累進」という方向での税制と社会保障制度の民主的再建が必要だというのが、私たちの立場です。
二十一世紀のあるべき税制は、財界・大企業、高額所得者の負担責任は免除するという方向がよいのか、それとも、「負担能力に応じた負担」という原則にたって、ほんとうに公正な税制度をつくっていくのか、そういう大きな国民的議論が必要となっています。
わが党は、消費税増税をはじめとする庶民増税に反対し、税制と社会保障の民主的改革という抜本的対案を掲げて、大いにたたかいを広げていきたいと決意しています。