2003年6月19日(木)「しんぶん赤旗」
「日立製パソコンが発火した。メーカーは事実を公表して自主回収してほしい」。日本共産党の瀬古由起子衆院議員が、パソコン販売業者からの告発を受け経済産業省に対応を求めていた問題で、メーカー側が、内蔵ハードディスク(HDD)の欠陥から「発煙事故」に至った事例があったことを認める回答をしていたことが十八日までに分かりました。
瀬古氏に告発があったのは今年一月。日立製パソコン「FLORA」で、毎年、夏場になると「発火事故」が頻繁に発生しているのに、メーカー側は自主回収をしようとしないというもの。
メーカーは「発火事故は皆無です」と回答し「発煙事故」としています。原因は「HDDに搭載している制御用IC(集積回路)でDC(直流電流)耐電圧が不足しているものが混入していた」と説明。不適格な部品が使用されていたことを認めました。
メーカーは、納入ユーザーへ個別対応をしたとして現在も欠陥を公表していません。
瀬古氏は、経済産業省に「個別企業の対応だけでは、欠陥を隠ぺいされる危険もある」として行政の責任ある対応を改めて求めました。
富士通のハードディスク不良、NECの本体温度の異常上昇…欠陥パソコンの不具合が相次いで表面化しています。こうしたなか、内外のパソコンメーカーで組織する電子情報技術産業協会(JEITA)が先月二十一日、欠陥パソコンの情報開示のあり方を定めた「ガイドライン」を発表しました。しかし、その内容は、対象機種、原因などは非公開にし、情報開示も極力おさえるものとなっています。
同協会が発表したのは「パーソナルコンピュータの共通重要障害への対応ガイドライン」。
「重要障害」のうち、爆発、発火などユーザーの生命・身体に危害を与えるものを「欠陥」、機能や性能の低下などを「不具合」と分類しています。
個別メーカーが「重要障害」を確認し同協会に報告しだい、「共通重要障害対応専門委員会」を立ち上げトラブルの検討を始めます。
ところが、同専門委員会のメンバーは各メーカー一社二人で構成され、発生状況、問題の波及する対象機種・規模、原因分析などについては「全て非公開」とされています。
情報開示のレベルも(1)個別ユーザー(2)販売チャンネル(3)各メーカーのホームページへの開示(4)マスコミ―と四段階に分けられています。
瀬古衆院議員は「各メーカーが現在でもやっているホームページでの開示はレベル(3)。発火、爆発など生命に及ぼす危害も想定されている。ユーザーの声を反映するよう行政がメーカーを指導しチェックできる体制をつくるべきだ」と話しています。