2003年6月19日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 都市公団を廃止して「都市再生機構」をつくることが決まったようですが、何が変わるのでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 長年、公団住宅を供給してきた都市公団(旧・住都公団)を廃止し、独立行政法人「都市再生機構」を設立する法案が、日本共産党などの反対を押し切って六月に成立しました。機構は二〇〇四年七月に発足します。
機構は、公団が行ってきたニュータウン事業などの新規の賃貸住宅建設からは原則的に撤退し、民間による賃貸住宅供給の「支援」、大企業の工場跡地や遊休地などを利用した民間都市開発の「誘導」が業務の中心となります。権利関係の調整などのコーディネート業務や関連公共施設整備などを行うほか、賃貸住宅用の敷地を整備して民間事業者に借地などの形で提供します。
これらは新たな大型公共事業推進策として小泉内閣が掲げる「都市再生」の一翼を担い、あらかじめ土地や権利関係を“ならして”業者に渡し、ゼネコンや開発業者のもうけのお膳だてをするものです。住宅建設からの撤退も、公団住宅が「民業を圧迫している」との財界の注文に応えるためです。
しかし政府の統計調査でも、いまだに二百二十万戸を超える世帯が最低居住水準に満たない住居に住むことを余儀なくされています。良質で低家賃の公共賃貸住宅を供給することは、いぜん重要な課題であり、これまで七十六万戸の公共賃貸住宅を提供してきた公団の役割を放棄することは問題です。
公団は賃貸住宅事業では毎年三千億円の利益をあげ、金利を払っても四百億円の黒字です。しかしバブル期以降の不透明な買いあさりで抱えた三千三百ヘクタールの“塩漬け”状態の土地が経営を圧迫しています。今も家賃値上げなどで増収を図る動きがあり、開発“地ならし”に専念する機構が高齢・低所得化の進む公団住宅入居者に犠牲を強いないよう、居住の安定を保障させる必要があります。
(水)
〔2003・6・19(木)〕