2003年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 自動車安全運転センターを民間法人にするそうですが、センターの業務はもともと警察の仕事だったのではないですか。(愛知・一読者)
〈答え〉 交通事故の補償手続きに使われる交通事故証明書などを発行している、警察庁所管の認可法人・自動車安全運転センターが、今年秋から民間法人となります。小泉内閣の「特殊法人等整理合理化計画」にもとづくもので、政府の出資を解消し、理事長・監事を国家公安委員会の任命から認可制に変え、資金計画の認可制や財務諸表の承認制も廃止するなど、国の関与を縮小します。
しかし、交通事故証明などは慎重な扱いを要する個人情報であり、情報を管理する警察が直接行うのが公共性・効率性・個人情報保護からも適切です。もともと警察じしんがこうした証明書を発行していたもので、一九七五年のセンター設立法の国会審議でも、あえて設立する必要性が論議となりました。
これについて当時の福田一国家公安委員長は「(退職した警官は)後どこかへ行くといっても…(警備会社など)そういうようなところだけ」「警察には一つもございませんという話を聞くと、むげにどうも…」「お願いする以上は何か理屈をつけなければ」など、直接的な表現で、天下りの受け皿機関とする意図を認めています(七五年三月十九日、衆院交通安全対策特別委)。二〇〇三年度のセンター職員の四割は退職警官、役員六人の全員が元高級官僚で、そのうち三人が警察出身です。
今回の民間法人化でもこの実態は規制されません。人事院の天下り事前承認の対象にもならず、監督官庁からの天下りも三分の一まで認められます。特殊法人などが負う情報公開の義務もなくなり、不透明さが増します。民間法人になれば補助金に依存しないことが指導基準となり、事業収入の主力である、証明書手数料の値上げ圧力が高まります。「特殊法人改革」の数合わせともいうべきセンター民間法人化で、国民に役立つことは何もありません。
(清)
〔2003・6・21(土)〕