日本共産党

2003年6月23日(月)「しんぶん赤旗」

厚労省、基準に反映せず

人工甘味料スクラロース

動物試験9例中4例で流産

井上美代参院議員「審査やり直しを」


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 ガムや清涼飲料、砂糖代替品の人工甘味料スクラロース(英国テイトアンドライル社開発)は、試験動物の半数近くが流産をおこしていながら、下痢によるものとして食品への使用基準に反映されていないことがわかりました。日本共産党の井上美代参院議員が厚生労働省に安全審査の経緯をただした結果、明らかになったもの。同議員は安全審査やり直しを要求しています。

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スクラロースを使った砂糖代替品

 同省食品保健部基準課によると、動物試験の九例中四例に下痢による流産が発生。しかし、「スクラロースの使用基準には流産の評価はされていない」といいます。スクラロースが下痢をおこすことは「食品の表示欄などに、お腹がゆるくなることがあるという注意書きがつけられている」(同省基準課)といいます。しかし、食品の表示に動物実験でわかった流産への注意喚起はされていません。

 スクラロースをめぐっては、高温加熱で有害な塩化水素ガスが発生するのに、厚労省がその危険性を評価していなかった問題が、五月下旬の井上議員の国会質問で判明。欧州連合(EU)ではスクラロースの食品添加物認可の手続きが最終段階で三年以上もストップしています。

 井上議員は「妊娠した女性が下痢をおこせば、子宮にも悪影響をあたえる。メーカーのデータだけでなく、独自の試験もおこなって、ちゃんと安全審査のやりなおしをおこなうべきだ」と、抜本的な食品添加物認可の再検討を求めています。



「なぜ急ぐ?」――審議で繰り返し疑問

 人工甘味料スクラロースの評価は、厚生省食品衛生調査会(当時)が一九九八年から九九年にかけて、メーカー提出資料で、使用基準を決定しました。これによると、生菓子などで一キロ?当たり一・八?(チューインガム同二・六?)、ジャム同一?、砂糖代替品同十二?などが使用上限とされています。

 スクラロースの毒性(動物)試験では、九例中四例の流産が発生。九八年十二月十八日の毒性・添加物合同部会の審議議事録によると、委員が「これ(九例中四例の流産)をどう評価したかということがない」と疑問を出しました。

 部会長は「下痢によって妊娠中、特に強い影響があったんであろう」「九例中四例の死亡も、…通常では死に至らないものであっても、それが大きく影響して死に至ったんではないか」と説明しましたが、流産のリスク評価はおこなわれていません。

 九九年五月二十四日の審議でも、委員から「コーデックス(注、食品の国際規格を決める国際機関)でもまだ結論がでていない甘味料だ」「なぜこんなに急ぐのか」と重ねてスクラロースへの疑問が出されました。


スクラロース 砂糖の六百倍の甘味がある「ノンカロリー」人工甘味料として、ガムや清涼飲料、菓子、砂糖代替食品などに使われています。砂糖を原料にして、百?中二十二・六?も塩素を含んだ有機塩素化合物。消化されずに体外に排出されます。日本では、天然甘味料ステビアにかわるものとして、使用量が三年間で三倍にはねあがっています。


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