2003年6月27日(金)「しんぶん赤旗」
二十六日の参院厚生労働委員会で日本共産党の井上美代議員がおこなった、労働基準法改悪案にたいする反対討論(要旨)は次の通りです。
今回の法案は、衆議院において解雇規定に関して修正がなされたものです。労働団体、法曹界など国民的運動の成果であり、野党四党の共同要求が実現したものとして評価しています。しかし、なお労働者と国民の生活と権利を脅かす重大な問題点が残されています。
第一の反対理由は、有期雇用契約の期間を一年から三年に延長し、専門的知識などを有する労働者と六十歳以上の労働者には三年を五年に延長することで、有期雇用労働者の雇用のいっそうの不安定化を招くからです。
今までは契約更新によって三年間雇用を継続すれば期間の定めのない雇用とみなされる可能性がありましたが、今回の改悪によって合法的な雇い止めが可能となります。
有期契約による新規採用が増大しており、若年定年制の懸念はますます深まりました。厚労省は正社員のリストラに悪用されることへの懸念を認めつつも、具体的な歯止めは白紙です。政府の責任を棚上げしたものといわざるを得ません。
反対理由の第二は、裁量労働制の適用事業場の拡大、導入要件の大幅緩和をおこなうことです。
裁量労働制は、いくら働いても労使で決めた時間しか働いていないとみなし、サービス残業を合法化するものです。国際的にも異常な働き方で、労働者の生命と健康を脅かすものです。過労死、過労自殺が増大するなか、長時間過密労働を強いる制度を広げることは許されません。
労働者が何時間働いたかも分からずに使用者が労働者の健康管理ができるでしょうか。これでは使用者の労働者にたいする健康確保の責任を定めた労働法制が、空文化することは必至です。
第三は、有期労働者に育児・介護休業が適用されない問題が何ら改善されていないことです。
今回の改悪により雇用契約期間が一年から三年に延長されることで、この弊害がいっそう拡大することは必至です。有期労働者にも育児・介護休業が適用される法改正がどうしても必要です。
以上、本法案に反対であることを重ねて表明して討論を終わります。