2003年6月29日(日)「しんぶん赤旗」
イラク特別措置法案の審議が二十五日から衆院イラク特別委員会で始まっています。これまでのわずか三日間の質疑でも、日本共産党議員の追及で、自衛隊が米国のイラク軍事占領に参加・加担できるようにするという、法案の核心が明らかになっています。
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法案は自衛隊がイラクで「安全確保支援活動」をおこなうと定めています。これは、米英などによる「イラクの国内における安全及び安定を回復する活動」に対する「支援」とされます。この活動について、福田康夫官房長官は日本共産党の木島日出夫議員の質問(二十六日)に対し、「犯罪の防止などによってイラク国民の生命、身体の安全、ひいては社会全体の安全を確保するとともに、イラク国民の生活を安定させることによって社会秩序を回復させるための活動」と答弁。その趣旨にかなえば、米英占領軍による軍事活動もふくまれるとの見解を示しました。
米軍はいま、「砂漠のサソリ」作戦と称して、イラク各地で、旧政権残党勢力に対する掃討作戦を展開しています。
川口順子外相は、日本共産党の赤嶺政賢議員の質問(二十五日)に対し、こうした掃討作戦も、「安全及び安定を回復する活動」に該当する場合があることを認めました。つまり、米英占領軍の戦闘行動も自衛隊は支援できることになるのです。
「安全確保支援活動」の具体的な内容も問題です。法案は「医療、輸送、保管(備蓄を含む。)、通信、建設、修理若しくは整備、補給又は消毒」の支援業務を定めています。米英占領軍などへのあらゆる兵たん支援が可能な仕組みです。
日本共産党の木島議員、児玉健次議員の追及に対して、石破茂防衛庁長官は具体的な支援内容(別表)を認めています。
米軍が戦闘している地域と隣接したところに、自衛隊が巨大な集積基地をつくり、戦車などに燃料を補給したり、輸送してきた武器・弾薬を渡したりすることまでできるのです。
政府は二十六日の特別委員会理事会に、自衛隊が「実施の可能性があると想定される業務の例」という文書を提示しました。そのなかで、「補給」として「イラク国内での水の浄化・補給・配給」をあげました。
ところが、イラク国内の水の需要については、「イラク国民は井戸水があるため給水の必要はほとんどなく」(「毎日」二十七日付)、水の「補給」を求めているのはもっぱら米軍といわれます。
与党イラク調査団の一員である自民党の杉浦正健議員は二十六日の委員会で、「軍隊は二十万人近く展開しており、飲む量だけでもものすごい。猛暑の中で、一人当たりペットボトル二本ずつしか配給がない」とのべ、そのことを認めています。
結局、自衛隊がイラクでおこなう活動は、“復興支援”とは名ばかりで、米英占領軍への軍事支援なのです。