2003年6月30日(月)「しんぶん赤旗」
高齢者医療窓口負担が限度額を超えた分の払い戻しは、手続きが煩雑なため各地で未請求が増えているなか、札幌市では、対象者の97%が手続きを済ませていることがわかりました。札幌社会保障推進協議会(札幌社保協)などの要求をうけて、同市が昨年十月から実施している、比較的簡単な手続きの「札幌方式」の効果です。
小泉内閣の医療改悪で昨年十月から高齢者医療の窓口負担が一割(一定以上の所得者は二割)になり、外来で負担限度額を超えた場合、全額支払い、後で払い戻しの申請をします。
札幌市の場合、患者の窓口負担が限度額を超えると、対象者に払い戻し額を通知します。通知を受けた人はその内容を確認し、銀行など指定口座を記入、郵便で返送すれば手続き完了(代理人でも可)。領収書などは不要。二度目からは手続きなしで自動的に振り込まれます。
これは市民に好評で、同市の調べでは、今年一月に通知を発送(昨年十月度)した、対象者一万六千三百四十五人のうち五月末までに一万五千八百四十九人(97・0%)が申請しました。
残る3%の人にも「『返還の手続きお忘れではありませんか』と手紙などを送る予定」(同市担当者)といいます。
払い戻しは各地で大幅に遅れており、福岡県(県保険医協会調べ)では二万七千人(54%)が未申請で、未支給額は一億八千二百万円に。東京都(都保険医協会十一区十一市調べ)でも35・6%が未申請で八千万円に達しています。
札幌市では、札幌社保協などが「限度額を超えた分は窓口負担なしに。手続きは簡潔に」と粘り強く要求してきました。
札幌社保協・斉藤浩司事務局次長の話 領収書をそろえ市町村窓口に出向くのは、高齢者には大変です。その点、札幌市の制度は高齢者に一定配慮されています。本来は国がもっと高齢者の負担を緩和する制度にすべきであり、そのことを国に強く要望したい。