2003年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
参院法務委員会は一日、身体の外面的な性と内面的に認識している性が一致しない性同一性障害者が戸籍上の性別を変更できるようにする特例法案の参院本会議への提出を全会一致で決定しました。ふつうに社会生活を送りたいという当事者の切実な願いの実現にとって一歩前進であり、日本共産党も共同提案に加わりました。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法案」は、性同一性障害者が(1)二十歳以上(2)現に婚姻をしていない(3)現に子がいない(4)(性別適合手術などで)生殖腺がないか生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある(5)身体に他の性別の性器に近似する外観を備えている−のいずれにも該当する場合、本人の申し立てにより家庭裁判所が「性別の取扱いの変更の審判をすることができる」としています。
性同一性障害者が性別適合(性転換)手術で別の性となり、身体を心と一致させても、戸籍上の性別はこれまで変更できませんでした。戸籍の性別表記は、住民票、健康保険証、年金手帳などの公的書類の性別記載と結びついています。手術後の外見上の性別と、公的書類に記載された性別が異なることから、性同一性障害者は就職をはじめ日常生活で差別的に扱われるなど、数々の困難を強いられてきました。
子どもがいないことを要件としている点に関係者から反対の声もありますが、施行後三年をめどに施行状況や性同一性障害者などをとりまく社会的環境の変化をふまえ再検討することがもりこまれています。法律は公布日から一年後に施行されます。