2003年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 産廃などの不法投棄への法規制が強化されると聞きましたが、どんな内容ですか。(東京・一読者)
〈答え〉 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)が今年六月に改正されました(十二月施行)。不法投棄の未然防止が柱の一つです。
自治体首長に、廃棄物の「疑いのある物」の報告を求めたり立ち入り検査を行う権限が追加され、疑わしくても“販売目的の一時保管”などと称しているため手を出せなかった事案なども調査できることになります。対応が遅れがちな、複数の都道府県にまたがる広域的事件に備え、緊急時の環境大臣の調査権限も創設されます。不法投棄・焼却は現行犯でなければ取り締まり困難でしたが、「未遂罪」が創設され、穴を掘るなどの準備行為段階から摘発できるようになります。悪質業者を排除する欠格条項も強化されます。
こうした規制は必要ですが、この間、一九九七年と二〇〇〇年の法改正などで規制が強化されたのに、環境省集計でも不法投棄事件が毎年千件を超える事態となるなど増加傾向にあります。処分場がひっ迫する一方、メーカーら排出事業者のリサイクルや処理が進まず、廃棄物たれ流しが増えているためです。今回もこれまで同様、廃棄物の“下流”の処理業者の規制が中心で、“上流”の排出事業者にほとんど規制が及ばない点が、大きな限界です。
産廃問題の解決には、排出事業者の責任強化が不可欠です。昨年十一月、中央環境審議会の意見具申も、「原状回復は…排出事業者を含めた関係者の責任で実施されることが原則」「拡大生産者責任の趣旨に基づき生産者による製品設計・素材選択の工夫や、引取り・処理などの取組を求める制度の一層の拡充が必要」と指摘しています。産業界の強い反対でこうした内容が見送られたため、日本共産党はメーカーに設計の工夫や廃棄物引き取り・リサイクルなどを求める修正案を提出しましたが否決されました。
(清)
〔2003・7・2(水)〕