2003年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ30日小玉純一】パキスタンのムシャラフ大統領が六月の訪米で、米側の要求に応じて同国軍のイラク派兵を表明したことに対し、パキスタンで「誤った道」「パキスタン軍が侵略軍になってしまう」(英字紙ニューズ二十七日付)と厳しい批判が相次いでいます。
同国では米英軍によるイラク戦争に反対する声が圧倒的でした。派兵についてもメディアなどで反対が多数。ドーン紙は「派兵は、平和維持への参加ではなく占領軍の永続的支配を助けることを意味する」と強調。最近の米英占領軍への攻撃をあげて、占領軍に対するイラク人の憎悪に言及しながら「イラク人が激怒したとき、米兵とパキスタン兵を区別することはありえない」「だれもパキスタン兵に対するイラク人の攻撃を阻止できない」と指摘しました。
同紙は、イラクやアラブの人たちに派兵が否定的に受け取られることをパキスタン政府は認識すべきだと主張し、「対テロ戦争での米国への協力と、イラク占領での米国への協力はまったく別だ」と強調しました。
ニューズ紙は「ムシャラフ大統領の約束はパキスタンで歓迎されそうもない。多くのパキスタン人は、米英がイラク占領軍だとみている」と指摘。「派兵は、主権国家を征服する侵略軍になることと同じだ」と強調しました。
ムシャラフ大統領は二十五日、米ABCテレビに、ブッシュ米大統領が前日の会談でパキスタン軍のイラク派兵を求め、原則合意したことを明らかにしました。他方、この会談で米側は総額三十億ドルの経済支援を約束しました。
ムシャラフ大統領は国連やイスラム諸国会議機構(OIC)などのもとでの派兵を望んでいるとしています。ドーン紙は平和維持活動とも呼べないものにOICが参加する見込みはないと述べています。
もし、ムシャラフ政権が派兵を強行すればパキスタン国内の情勢が一挙に不安定化する可能性があります。