2003年7月3日(木)「しんぶん赤旗」
気象庁は、東海地震の観測強化地域にある静岡・石廊崎、網代など五つの測候所を十月一日から廃止する計画を二日までに発表しました。一九九六年度から進められた測候所の廃止は、今回の計画を含めると全体の約四割を占める四十にものぼり(図参照)、地元住民をはじめ強い批判の声があがっています。
この計画にたいし、全気象労働組合は、防災最前線の重要な社会的使命を持つ「測候所の廃止を強行することは、国民の声を無視し、国民に背を向けるものであり、許されるものではない」と抗議する声明を発表しました。
気象庁企画課によると、廃止されるのは、静岡・石廊崎測候所、網代測候所、山梨・河口湖、宮崎・油津、鹿児島・枕崎の五測候所。
このうち伊豆半島の石廊崎測候所は、「海上の霧は局所的気象現象で現地でしかつかむことができない」(丹藤英司全気象労働組合書記長)地域。また、網代測候所は、伊東沖の群発地震や海底火山活動の現場に近い。河口湖測候所がなくなれば、富士山の初冠雪の目視観測ができません。九州の二カ所は台風がよく接近するコースです。
同庁は廃止の理由を「機械化・自動化による対応が可能になった」と説明し、管区内の地方気象台が気象情報の提供や住民からの問い合わせに答えるといいます。しかし、九五年一月の阪神・淡路大震災では、夜間無人化が強行された洲本測候所で、自動震度計が故障し、震度6の情報がただちに気象庁に届かず初動対応が遅れる事態も起きています。
石廊崎測候所のある南伊豆町では、ことし三月に「石廊崎測候所を存続させる会」ができるなど地元で廃止反対の運動が広がっています。
日本共産党の瀬古由起子衆院議員は六月二十五日、地元党議員らとともに静岡・南伊豆町の石廊崎測候所などを調査しました。瀬古議員らと会った稲葉勝男南伊豆町助役は「観光の拠点であり、漁業を成り立たせていくうえでどうしても測候所の人の配置は欠かせない」「測候所に人がいなくなっては町がさびれてしまう」と語り、漁協関係者も「(測候所存続の)署名には、いのちのかかった住民の声が込められている」などと訴えました。この声をもとに瀬古議員らは気象庁に「住民の納得がえられないのに強行はすべきでない」と要請しました。
日本共産党の横嶋隆二・南伊豆町議の話 気象庁の担当者が一日、廃止計画の説明にきた。その席で、漁師から現場の海域の気象変化が激しい現状と、計画への怒りが語られた。加茂郡下のほとんどの漁協が存続を求めている。町内の約四千世帯、有権者約八千八百人の半数以上の四千六百人が存続署名している重みを受けとめ、計画を撤回すべきだ。